【大紀元日本5月2日】中国江蘇省泰興市で4月30日、1万人を超える市民の抗議事件が発生した。「真相を公表せよ。我が子を返せ」と抗議者らが叫ぶ。前日に起きた幼稚園児28人が男性に刃物で襲撃された事件で、保護者に負傷した園児と面会させるよう、また真相隠ぺいをやめるよう、地元政府に訴えるためだった。一方、万博開幕式を控え、同事件に対する当局の報道規制も伝えられている。
園児との面会は禁止
前日の29日、同市の幼稚園で、無職の男(47)が園児らを刃物で殺傷した事件が発生した。地元当局は、32人の園児が負傷したと発表したが、保護者らは負傷した園児との面会を禁じられている。負傷した園児の中には、すでに死亡した子供もいるとの噂も流れた。
負傷した園児の親の一人、辛さんによると、自分の息子は
抗議現場。「悪徳官僚を殺すのは英雄 子どもを殺すのは馬鹿野郎」と書かれている(ネットユーザー提供)
重症患者室に入っていると伝えられていたが、面会は禁止されている。現在2回目の手術を行うと言われたが、病院側から、子どもの生死に病院は一切の責任を負わないとの同意書へ署名するよう要求されているという。
30日午後、負傷した園児の保護者らが街頭で抗議活動を始め、支援者を含む1万人あまりの市民が、園児が入院する「人民医院」の前に集結。地元政府に対し、事件の真相を隠ぺいしないよう求めた。これに対し、武装警官を含む地元警察が全員出動したと伝えられている。
情報によると、同日夜、地元政府は保護者らに対し、負傷した園児との面会を許可したため、深夜11時頃、抗議者らは徐々に退散した。
万博開幕式を控え、報道規制
また、インターネットでは、同事件に関する書き込みや情報が相次いで削除され、地元で最も人気の高いサイトも一時閉鎖となった。
「上級部門からの通達により、泰興市幼稚園の殺人事件に関する報道は、新華社の報道のみを採用する。万博開幕式に配慮し、同事件の報道はトップページで掲載しないように」との内容が書かれた、ポータルサイトSinaの報道宣伝部の通知書がネット上に流れ、同事件に対する当局の報道規制があったことが明らかにな
ポータルサイトSinaの報道宣伝部の通知書。当局の報道規制があったことがわかる。
った。
ネット作家の顧志堅さんは、園児殺傷事件後、現場に飛び、事件の状況を記録してブログで公表したところ、現地公安局に呼び出され、同事件に触れないよう要求されたという。
また、事件発生直後から、児童の救命治療を担う現地の病院関係者は取材を一切拒否している。
インターネットでは、犯人は無職の男性で、2001年に勤めていた保険会社から解雇された。以前、地元の警察から不当な扱いを受けていたとの情報も流れている。
映像:4月30日の抗議事件http://www.youmaker.com/
1ヶ月で、5件の児童殺傷事件
中国ではここ1カ月、児童を狙った無差別殺傷事件が各地で相次いでいる。抗議事件のあった30日、山東省濰坊市では小学校の児童を狙った襲撃事件が発生。教室に乱入した45歳の男がハンマーで複数の児童を襲い、その後焼身自殺を図った。3月下旬に福建省南平市の小学校で発生した13人の児童殺傷事件以来、今回で5件目となった。
相次ぐこれらの事件から、中国社会はすでに新たな社会的衝突段階となっており、高圧的な政治体制に圧迫された社会的弱者が、精神上のストレスや極端な貧富の格差への不満から、仕返しを図ろうとしているものと、専門家やメディアは警告している。
今回の事件や3月に福建省で起きた児童殺傷事件でも、市民らは「子どもを殺すな。殺したかったら悪徳官僚を殺せ!」の声を上げている。江蘇省の事件後、広州市のある学校では、「不公正には根源がある。前方を右に曲がれば政府の役所があります。(不満はそちらへ)」というスローガンを出し、政府が社会の不公正の原因だと、本音をはっきりと伝えている。
広州市のある学校に張ってある横断幕。「不公正には根源がある。前方を右に曲がれば政府の役所があります」と書かれている。続出する学校殺傷事件に、子どもをターゲットにせず、社会の不公平を生み出した政府をターゲットにするようにとの学校側の本音が表れている。
(翻訳編集・叶子)
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