【大紀元日本6月2日】ストライキが続いているホンダの広東省仏山市部品工場(南海工場)は、5月31日午後、生産ラインの一部を再開したが、政府系労働組合がスト参加の従業員に復帰を強要したため衝突。同日夜、再び生産を停止した。6月1日朝、一部のスト参加者は管理側とスト停止の交渉に入ったが、工場側が示した24%賃上げの条件に合意せず、生産ラインへの復帰を拒否したという。
国営「新華社通信」の報道によると、賃上げ要求で5月17日からストが続いている広東省佛山市のホンダ部品工場では、31日、会社側が提示した賃上げ幅に不満を持つ一部のスト参加者は就業を拒否したが、6月1日朝、従業員の大半が作業復帰に同意し、製造過程の一部が再開したとして伝えている。
しかし、中国「財新網」の報道によると、31日に日本の工場側が従業員を集め、職場復帰にあたっての賃上げ条件を提示した説明会に、会社側を支持する100人を超える地元政府系労働組合員も説得役として参加。復帰を拒む従業員に労組の組合員がビデオカメラを向けたところ、双方がもみ合いとなり、7、8人の従業員が軽いけがを負った。この衝突により、一時復帰した生産は再び停止。警察も出動する騒動となった。「財新網」は、昨年、報道規制に不満を持ち、一斉辞職した「財経」紙の元主幹らにより再編された財経ニュースサイト。
「財新網」6月1日午後の現地取材によると、同日、約300人の従業員が工場側の日本人責任者および政府系組合員との会議に参加。日本人管理者はスト参加の従業員を処罰しないと約束し、31日に提示した賃上げ案について説明したという。同案には、従業員の給料を現在の1544元(約2万円)から約24%増の1910元(約2万5千円)に増加するなどが盛り込まれた。賃上げ後の賃金は広東省の機械加工業界の標準賃金とほぼ同額になる。6月10日の給料日からの実施という。
また、福利厚生の調整について、日本人管理者は、2ヶ月後に再び協議するとした。
しかし、その後、「従業員の利益を最優先に考慮する」という政府系組合員の発言に対して、給料はともかく、31日に組合メンバーが従業員を殴った件にまず謝罪しろと、従業員らは反発。一部は再び結集して、衝突事件における組合の責任について引き続き交渉するという。
従業員の話によると、一部は生産に復帰したが、多くはまだストライキを続けているという。
ファイナンシャルタイムズ紙5月31日現地での取材報道は、工場側は従業員に「ストライキ不参加」の誓約書に署名するよう要求しているという。取材に応じた従業員は「サインしない」と話したが、工場側や組合からの報復を恐れて匿名を要求したという。
また、他の中国メディアの報道によると、協議に関わったある政府幹部は、「ホンダ南海工場の給料基準や労働時間は中国の規定に違反していないが、最近のインフレで従業員らの生活が苦しくなり、このためストライキを始めた」と話した。
5月17日から始まった同部品工場のストライキにより、中国国内にある四つのホンダの組立工場は現在も生産停止のまま。4日に生産が再開される予定だったが、ストライキの収束に至っていない現状では、再開の見通しはついていない。
一方、ホンダ中国スポークスマン朱林傑氏は5月30日、ホンダ車の販売状況はあまりなく、同事件に影響されることはないと話した。
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