【大紀元日本8月29日】両国の軍人交流の一環として訪中を予定していたインドの陸軍幹部一人に対して、中国側がビザを発給しなかった問題で、インド政府が両国間の国防交流を中断したと伝えられたが、中国国防部は28日、インドからこのような通知を受けておらず、両国間の国防交流は正常であると発表した。
インド紙「タイムズ・オブ・インディア」は27日、同国軍部からの情報として、インドは中国の陸軍幹部二人に対してビザの発給を拒否したと報道した。中国政府はジャスワル中将に入国ビザの交付を拒否したことへの反発であるとしている。同中将はインド北部ジャム・カシミール州の司令部に配属されており、同地区について両国間では従来から領土権の争議があった。中国側のこの行動に激怒したインド側は、中国との国防交流を中断したという。
しかし、28日、中国国防部はロイター通信宛に声明を送り、両国間の軍事関係は正常であると発表した。
「中国は、インドとの軍事関係に真剣に対処しており、両国とも双方の関係においてより広い視野から対応することになると自信を持っている」と声明で述べている。
一方、中国国防部の同声明について中国国内メディアは報道していない。28日の時点で、中国メディアは同問題について、「インド国防部アントニー部長が、インドが中国との軍事関係を中断したとの報道を否定した」と、口を揃えている。
インドの全国紙「The Hindu」WEB版29日の北京発の報道によると、中国の国営報道機関は控えめの処理方針の指示を受け、報道にあたって上層部の指示を待つよう言われているという。
今回のビザの交付拒否の原因について、インド国内の報道は、カシミール地区を管轄する陸軍のジャスオ中将が中国側に歓迎されていないためと分析した。
インド外交部は26日、「特定な要素」により、同中将の中国訪問が実現しなかったことを認め、中国政府に対し、より理性を示すよう呼びかけたが、インド政府の対応の詳細は説明しなかった。
カシミール地区をめぐっては、中国、パキスタン、インドの三国がそれぞれの領土権を主張して対立している。
インド側はカシミール地区は全部インドの領土であると主張するのに対して、中国側は同地区の北部は自国の領土と主張、パキスタンは中国が統制している部分を除いて、全部自国の領土であると主張している。
印中の両国間はこの領土権をめぐって、1962年6月から約5か月間戦争を起こした。それが有名な「中印戦争」である。終戦後、関連の交渉が13回行われたが、問題を解決できないでいる。
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