高智晟弁護士に追加懲役3年 「すでに死亡か」と憂慮の声も

2011/12/19 更新: 2011/12/19

【大紀元日本12月19日】中国国営通信社・新華社は16日、行方不明の人権派弁護士・高智晟氏を追加懲役3年に処すると報道した。同氏はこれまでに幾度も強制連行され、監禁されており、昨年4月から行方不明である。

今年47歳の高智晟弁護士は、社会的弱者から無料で弁護を引き受け、正義を追求することで中国全土に知られていた。中国当局に弾圧されている法輪功について、2005年から3回にわたり最高指導部に公開嘆願書を提出し、弾圧の違法性と残虐性を訴え、停止を求めた。それに対し中国当局は、同弁護士の法律事務所を強制閉鎖し、2006年12月22日には「国家政権転覆扇動罪」で、高智晟弁護士に有期懲役3年、執行猶予5年の判決を下した。

2007年、同氏は警察当局に強制連行されて行方不明となり、後に釈放された。2009年2月4日、高智晟氏は帰省先の陝西省の実家で、再び警察に強制連行されて行方不明となった。2010年3月、北京で一時姿を見せてから4月にまた行方不明になり現在に至っている。同氏の安否を気遣う各界からの質疑に対して、警察当局は一貫して氏の所在は知らないとの一点張りで回答していた。

一方、高氏の親友で、エイズ患者を支援する活動家の胡佳さんは、「高智晟さんが行方不明の後、再び姿を現す度に、私は彼に会って話を聞いてきた。行方不明中ずっと当局に監禁されていたことは明確だった」と語っている。

昨年4月、最後に行方不明になる直前に、同氏はAP通信の取材で、獄中で受けた拷問の数々を証言した。例えば、男性器を電撃したり爪楊枝で刺したり、目に燃えているタバコを当てる、昼夜を問わず睡眠を剥奪するなど。後にAP通信は関連報道を通して証言を公表した。

同氏の執行猶予期間は、今年12月21日で満了するはずだった。

ラジオ・フリー・アジア(RFA)の11月23日付の報道は、高氏の義理の父親・耿雲狄さんの話を引用した。今年8月中旬頃、米国のバイデン副大統領が中国訪問期間中、警察当局は耿雲狄さんに、高氏の釈放を通知し、受け入れるよう指示した。しかし、その後、警察からは一切連絡がない。

また、同報道によると、「呱代」と名乗るウェブユーザーがツイッター上で、高氏は内モンゴルに監禁され、11月15日にすでに死去したと書き込んだ。この情報の信憑性はまだ確認できていない。

このような背景の中、新華社の16日の報道によると、北京の裁判所が同氏の執行猶予期間を取消し、3年間の追加懲役に処すると報じた。同氏が繰り返し執行猶予の規定に根本から違反したためだという。

このニュースは、高氏が昨年、4月最後に所在不明以来、中国当局が公表した高氏に関する初めての情報である。

一方、胡佳さんによると、高氏を捜し続けて、彼の行方を警察当局に追究し続けてきた兄の高智義さんと姉の高艶芳さんには、裁判所あるいは警察当局から、今回の追加懲役を知らされていない。どの刑務所に監禁されているのかも依然として判明していない状態だ、という。

「さらに3年間の懲役に服するとは、悲しすぎて憤慨極まりない」と胡佳さんは無念な心境を語った。

一方、新華社の報道を疑問視する声も上がっている。一部の人は、高氏はすでに獄中で死亡したのではないかと憂慮している。中国当局は国際社会からの圧力を避けるため、追加懲役の形で死亡事実を隠そうとしているのではないかと見ている。

中国法曹界は高氏の安否に非常に注目している。著名な弁護士・江天勇さんは「人道的角度からも中国の法律の角度からも、高弁護士は自由の身であるべきで、彼への懲役刑は中国の人権擁護における汚点だ」と述べた。

高氏は2008年と2010年の2回ノーベル平和賞の候補者になった。

妻と2人の子供は2009年3月、支援者の助けで東南アジアを経由して米国への脱出に成功し、米国政府に難民として保護されている。

 (記者・駱亜、李平、翻訳編集・叶子)
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