中国の民衆と警官隊(STR/AFP/GettyImages)
【大紀元日本9月13日】「中国共産党上層部の内紛は天安門事件の時よりも深刻で、『革命』に転じる恐れもある」。米ブルッキングス研究所の主任研究員・李成(Cheng Li)博士がイタリアで開かれた政策研究会議アンブロセッティ・フォーラムでこのように指摘した。同会議を取材した英紙デイリー・テレグラフのベテラン記者アンブローズ・プリチャード氏は10日、李博士のスピーチは「深刻でショッキング」だったと伝えた。
十年に一度行われる共産党の指導部交代と同じ時期にして、中国経済はハードランディングしている。「経済危機と政権危機の2つがお互いを増幅させている」。そのため、政権の継承や上層部の権力闘争の実態について高度な見識を持たない限り、中国経済を読み解くことは難しいと博士は言う。
博士によると、中国当局は経済において基本的な政策過誤をしている。慎重な引き締め政策により製造業をそのままの状態に維持しながら、不動産景気だけを沈静化しようと目論んでいたが、「市場がこれほど敏感に反応し、経済全体が縮小するとは当局は予測できなかった」と博士は分析した。
さらに、資産バブルも不安材料の一つ。国際格付会社フィッチは先週、中国の銀行業界の資産が異常なスピードで増えており、08年末の9兆ドルから21兆ドル規模に急増していると警鐘を鳴らした。「これは、ちょっとした衝撃で全業界の収益が消える可能性があることを意味する」とも警告した。
経済への見方をさらに悲観的にしているのは、政治モデルの崩壊不安だという。「共産党政権の正当性は1989年(天安門事件時)当時よりも疑われており、共産党史上でもっとも危機的な時期を迎えている」。今の危機はさらに深まり、「革命」を引き起こす恐れさえあると博士は見ている。
秋に控える第18回共産党大会では、1949年からの共産党政権以来、もっとも大規模な指導部交代が遂行されると見られる。7割に上る党・軍の幹部が入れ替わるため、熾烈な座席争奪戦が繰り広げられている。「これが資本逃避の理由でもある」と博士は指摘。権力闘争で敗北することに備え、ほぼすべての高官が自らの資産を国外に移動しているという。
高官らの財産も共産党政権の正当性が問われる材料の一つだ。重慶市元トップの薄煕来氏の不正蓄財が1000億円だとされており、鉄道部の劉志軍・前部長はさらにその倍を超し、2200億円に達する財を着服している。「このレベルの腐敗は中国史上でも、世界でも例を見ないものだ」と博士は批判した。
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