【大紀元日本10月9日】喜びに満ちたバースデー・ソングは、決して誕生日を祝うという意味だけに留まらないようだ。香港「雨傘運動」で、この歌はいまや闘争や確執などを平和的に解決する一つの方法となった。
香港の「雨傘運動」の集会現場では最近、誕生日を祝う歌声が聞こえてくる。「雨傘運動」に参加する学生や市民らはなぜこの歌を歌うのか。現場に誕生日の人がいたわけではない。親政府派による罵声に対抗するためだ。親政府派の怒りは、この平和的な歌にかき消され、黙って立ち去るという場面がいくつも見られた。
この突飛な作戦は、単なる偶然から生まれたと推測される。「雨傘運動」に参加中の市民が、デモに反対する人々に向けて拡声器で反撃しようとしたとき、ボタンを押し間違えて拡声器から「ハッピーバースデー・トゥーユー」が流れた。すると現場にいた市民が大きな声で歌い始め、大合唱が始まった。歌声は響き渡り、罵声をかき消した。同時に人々の心から怒りや闘争心を失わせた。
9月22日、多数の学生が授業をボイコットし、20校以上が臨時休校した。1万3千人の学生が白衣に黄色いリボンを付けて、行政長官選挙権を求めて中心部の大通りを占拠した。香港史上、最大規模の学生運動で、「香港人」による真の普通選挙を求める運動が始まった。
香港の梁振英・行政長官は決して学生の訴えに応じようとせず、逆に学生は不法と主張。機動隊を出動させ、学生らに対し催涙弾を発射し、強制排除を行った。香港「雨傘運動」が全面的に勃発した。最多で1日に20万人が街頭に出て、デモに参加した。香港政府は9月29日、態度を軟化させ、機動隊を撤退した。
しかし6日目に事態は急変した。デモ隊を撃退するため、梁長官は香港にあるすべての「赤と黒」の勢力を起用し始めた。つまり、香港に潜伏する中国共産党の地下党員、スパイ組織、中国共産党の制御する暴力団・マフィア成員ら千人以上を、偽りの「親政府派市民」として動員し、「雨傘運動」のデモ参加者に対して大規模な包囲網を敷いて襲撃した。
デモ拠点の旺角(モンコック)では、学生と市民が暴徒から暴行を受けた。香港市民は「親政府派」の襲撃行為を放任する警察や政府を批判している。
学生たちが歌うバースデー・ソングは、新しい香港誕生への希望の歌に聞こえる。デモは規模縮小したものの、民主化への情熱を持った市民の活動は続いている。
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