アメリカ政府が海外在住の米国人の脱税行為に対する取り締まりを強化し、税収関連法規を複雑化したことから、米国籍を離脱、または同永住権を放棄する人が急増している。最新の米政府統計によると、今年第3四半期は前年同期比84%増で、史上最多の1426人に達した。CNNが報じた。
今年の人数は現時点で3221人、昨年度は3415人で2008年の15倍になった。
多くの国とは異なり、海外在住の米国人には、所在国での所得に応じた税金、国外の1万ドル以上の資産を米税務当局に申告、納税することが義務付けられている。その手続きは2009年の税制改正によりいっそう複雑になったため、会計士や弁護士などの専門家に依頼して申告しなければならず、高額な費用が発生する。
また、昨年7月1日に発効されたFATCA法案(外国口座税務コンプライアンス法)は、海外の金融機関に対し、米国人顧客の口座情報を米政府に開示することを定めている。開示不備があると判断された場合、巨額の罰金など厳しい罰則を受けることになる。そのため、一部の銀行は同顧客を敬遠しがちになっている。
取り締まりが厳しくなった2009年から2015年2月までの約5年間、米政府は海外に銀行口座を持つ4万5000人から追徴課税、利息、罰金として65億ドルを回収、検察当局は脱税容疑で100人以上を起訴した。
租税回避のために国籍離脱、永住権放棄を選ぶ富裕層もいるが、米国内資産売却益の納税分に相当する高額な「離脱税」(Exit Tax)は徴収される。
(翻訳編集・叶子)
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