トランプ大統領の型破りなスタイルは「ツイッター政治」だけではない。同大統領は各国首脳と携帯電話の番号を交換し、なにかあれば直接電話してきてほしいと伝えている。従来の外交形式を打ち破るユニークな手法だが、米大統領の通信上の安全性が脅かされ、機密漏えいという重大なセキュリティのリスクも伴う。
AP通信は新旧米国政府職員の話として、トランプ大統領がカナダ首相とメキシコ大統領に、自身の携帯電話に直接電話してほしいと話していたと報じた。現在、この「特権」を活用したのはカナダのトルドー首相だけ。
フランス政府職員は、トランプ大統領がマクロン仏大統領と会談した時も、携帯電話の番号を交換したことを明らかにしている。
「モバイルワールド」ともいえる現代社会において、世界のリーダーたちが携帯電話で連絡を取り合うこと自体に何の不思議もない。だが、外交分野における首脳間の通話は会談内容について、通常は関連部門において事前に入念な計画がなされている。AP通信は、トランプ大統領の今回の行動は、明らかにこれまでの慣例にない行為だと指摘している。従来の外交における細心の注意を払った手続きや慣例規則とトランプ大統領の大胆な振る舞いは、もはや水と油のように見える。
米大統領は通常、ホワイトハウス内のマップルームや大統領執務室、そして大統領専用車に設けられた電話回線など、安全性の確保された複数の専用電話回線を使って通話する。国家機密の保持という点では、トランプ大統領の使用する携帯電話が政府の準備したものだとしても、外国の諜報機関などから簡単に盗聴されるという懸念がある。
ペンタゴンの前顧問で国家安全委員会のデレク・チョレット氏は「オープンな電話回線で通話するということは、盗聴能力のある何者かがそれを盗聴していることを意味する」と警告している。
バージニア大学法学部のアシュレー・ディーク教授も、「マクロン仏大統領をはじめとする各国首脳が米大統領の携帯電話番号を入手した場合、その番号を直ちに自国の諜報部門に流すと考えるのが妥当だ」と語っている。
(翻訳編集・島津彰浩)
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