北朝鮮の相次ぐ核・ミサイル挑発に対して、国連安全保障理事会(安保理)と米国、欧州連合(EU)などの国際社会は経済制裁を強化している。専門家たちは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による軍事挑発をとめるには、中国から北朝鮮への原油輸出停止が必要だとの見方を示す。
8月5日、新たに国連安全保障理事会が下した北朝鮮への制裁で、「民間用」の石炭輸出を全面禁止となった。このため、今年の北朝鮮はさらなる経済難と食糧不足に陥る見通し。国連食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)は、北朝鮮住民の約40%がすでに栄養失調にかかっていて、3分の2は国際救護団体の食糧援助に依存していると伝えている。
戦略シンクタンクHIS Markitのラジブ・ビスワス氏はブルームバーグの取材に応え、金正恩政権は、こうした「国難」にもかかわらず、武器販売や麻薬取引など様々な違法ルートを通じて資金調達し、核・ミサイル開発を続けるだろうとみている。また、今回の制裁には原油輸出を禁止が含まれていないため、軍事挑発を止めるほどの高い効果はないと指摘した。
ほかにも、制裁の効果を評価しない声がある。韓国ソウル拠点の韓米外交学会のシン・ソンチョル会長は、金正恩政権の政策である核ミサイル開発を止めるには、制裁として、中国から北朝鮮への年間50万トンの原油出荷を禁止し、現在、外貨調達のために数万人いる国外北朝鮮労働者の入国を停止すると国連加盟国に対して求めることが必要だと述べた。
これまで中国は、国際社会から国連の対北制裁決議案を正しく履行してこなかったと非難されてきた。むしろ、他国が北朝鮮との貿易関係を断絶した隙間さえ埋めるような動きを見せている。貿易統計がそれを示している。
韓国国営・大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の最新報告書によると、2016年の北朝鮮の総貿易量は、前年より4.7%増の65億5000万米ドル、対中国依存度が92.5%で過去最高を記録し、3年連続で90%を上回ったことが明らかになった。
また、中国税関当局が7月中旬に発表した統計によると、今年上半期(1月~6月)の北朝鮮からの輸入量は前年同期比で13%減少し、8億8800万ドルになった。しかし、中国の北朝鮮への輸出量は29.1%増加している。
2012年、金正恩政権の登場以来、北朝鮮経済は年間平均1.2%成長を記録した。特に昨年の場合、3.9%の経済成長を見せた。
(翻訳編集・齊潤)
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