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「悪魔のプロパガンダに騙されないで」米コラムニスト、北の女性応援団の工作に警鐘鳴らす

2018/02/16 更新: 2018/02/16

米紙ヘラルド・サンのコラムニスト、リタ・パナヒ(Rita Panahi)氏は14日、同紙に「北朝鮮の悪魔のプロパガンダにのせられてはいけない」との強い警告的なメッセージを含む文章を載せた。

リタ氏はCNNやニューヨーク・タイムス、ワシントン・ポストなどが北朝鮮の金正恩政権により派遣された女性応援団について、独裁体制の残忍さを描くことなく取り上げていることについて批判した。

「北朝鮮は世界で最も堕落した、独裁体制の国だ」「超法規的な殺人、身の毛もよだつ公開処刑と見せしめ、拷問、飢餓、奴隷制、性的暴行、強制中絶…これらのことはこの独裁国家が侵している人道犯罪だ」。厳しい言葉とともに、リタ氏は、国連人権委員会の2014年の400ページもの調査報告のなかにある、強制的に腹部を切開された妊婦や殺害された新生児の事例について掲げた。

「あの女性応援団の姿や、金正恩の妹である金与正について取り上げる記事を見たら、このことを思い出してほしい」と警鐘を鳴らした。

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外交の金メダルを狙う北朝鮮

オリンピック開幕前、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩政権に対して「すべての選択肢がテーブルにある」と述べ、核ミサイル開発を続ければ軍事行動もいとわないとの姿勢があらわにしていた。2月14日、安倍首相は官邸で記者団に対して、大統領との1時間以上の電話会議のなかで、日米は北朝鮮政権に対する圧力継続を改めて確認し、対話ならば非核化を前提としたものでなければならないと意見を交わしたことを明かした。

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いっぽう、ロシアのプーチン大統領は1月、北朝鮮の金正恩・委員長について「やり手の成熟した政治家」であり、同国の核・ミサイル開発を巡る欧米諸国との対決に勝利していると評している。

ロイター通信も12日付の記事で、北朝鮮が平昌オリンピックで狙うのは「外交の金メダル」だと、韓国の元政府高官らの話を引用した。北朝鮮が、米国と同盟関係にある日本と韓国の間に亀裂を生じさせ、制裁と圧力の緩和に、五輪を利用していると専門家は指摘している。

「やり手」と評価される金正恩政権が、北朝鮮に対する日米の警戒心を緩和させるために派遣したのが「北朝鮮女性応援団」だ。

美女を使ったプロパガンダを好意的に取り上げるメディア

 

韓国の冬季五輪に合わせて、北朝鮮は約280人もの女性応援団を派遣した。日本を含む海外映像メディアは、会場内の専用席で、赤を基調とした統一のコスチュームをまとい、訓練された歌唱を披露し、手拍子を打ち、南北合同チームや北朝鮮選手に声援を送る応援団の姿を報じた。

テレビ朝日の「サンデーLIVE!」は10日、12年半ぶりに韓国で披露された彼女たちの姿について、視聴者が好印象を得るような放送を行った。応援団が故・金日成氏に模したとされる若い男性のお面や、緑や白に反転する小道具を駆使して「(応援に)大奮闘しています」「歴史的な試合に熱い声援を送っています」「金正恩・委員長の妹・与正の姿も‥‥!」などと強調する字幕を表示。さらに、「お会いできてうれしいです~♪」と南北統一をテーマにした朝鮮半島の有名歌の歌詞をテロップで何度も拾い上げた。

11日、同局のレポーターは平昌の選手村で北朝鮮女性応援団に接触し、笑顔で手を振った一団の女性に、「笑ってくれました」と、視聴者に彼女たちを好印象にとらえる報道を行った。@mollchane毒蝮三太夫氏はSNSツイッターでこのことを取り上げ、日本人拉致問題への再確認を広く周知した。同ツイートは15日までに1万人以上が転載した。

日本の五輪競技鑑賞者も、女性応援団を追いかけるマスメディアの姿勢に疑問を呈する。彼女たちについて解説する東洋経済オンライン2月14日付け記事「五輪で注目、『北朝鮮美女軍団』は何者なのか」が、Yahoo!ニュースのピックアップ記事にならんだ。770のコメントの中で最も支持を集めたのは下記の意見だ。

「日本のマスコミが美女軍団と騒ぎたてるのはどうかと思う。女性応援団とするべきだ。日本のマスコミが北の印象戦略をサポートしてどうするんだ。危機感が足りなさ過ぎる」。

(文・佐渡道世)

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