トランプ米大統領とグーグルCEOが会談、検閲版検索エンジンをめぐる社内反発続く

2019/03/28 更新: 2019/03/28

トランプ米大統領は27日、米検索大手グーグルのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)と会談し、グーグルの中国事業と「政治的な公正性」などについて話し合った。

昨年、米メディアは内部告発者の話として、グーグルが中国市場の再進出を果たすため、検閲機能付き検索エンジンを開発していると報道した。米国内外で大きく注目された。

トランプ大統領は28日、ツイッターに、「ピチャイ氏は、中国軍ではなく、米軍に完全にコミットしていると強調した」と投稿した。大統領とピチャイ氏は、「政治的な公正性」および「グーグルが米国のためにできること」についても話し合ったという。

米軍のトップであるジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長は今月、米上院軍事委員会の公聴会で、グーグルの中国事業は「中国軍に間接的ではなく、直接的に恩恵を与えている」と述べた。

また、グーグルの中国向けの検閲版検索エンジン開発をめぐって、ダンフォード統合参謀本部議長は「米のハイテク企業が国防省に協力することに抵抗する一方で、なぜ中国のような地政学的な競争相手に協力するのか」と疑問視した。

ピチャイ氏は27日、トランプ大統領との会談で、同社の中国事業について報告を行ったとみられる。

米メディア・インターセプト( Intercept)は27日、グーグル上層部は中国向け検閲対応検索エンジンの開発プロジェクト、「トンボ(Dragonfly)」をめぐって、透明性を示さず密かに内部評価を行っていると伝えた。

グーグルでは毎年、社員の業績や成長を評価する「業績評価」を行う。社員が互いのプロジェクトを評価し、経営陣がその結果を再評価するのが通常の手順だという。

インターセプトが入手した情報では、中国向けの「トンボ」プロジェクトに関しては、社員間の相互評価が省かれ、グーグル経営陣は、一部の上級幹部から構成された、閉鎖的な「審査委員会」を立ち上げた。

インターセプトは、グーグル社員の話として、グーグル上層部は通常の業績評価の手順では、より多くの社員に「トンボ」の詳細が知られることを懸念していると指摘した。

「トンボ」プロジェクトが報道によって明るみに出た後、グーグル社内では、同プロジェクトに反発する声が高まった。ニューヨーク・タイムズの報道によれば、グーグルの上級幹部を含む1400人の社員が連名で、上層部に対して同プロジェクトの透明性を示し、道徳と倫理を重視するよう求める文書を発表した。

インターセプト27日付によると、グーグルの社員は、経営陣が「トンボ」プロジェクトの情報公開を依然として拒否していることに不満を示した。現在、「トンボ」の詳細を知っているのはわずか一部の上級幹部だけで、大半の社員は全く知らないという。

「トンボ」は、中国当局のネット情報検閲システム「グレート・ファイアウォール」に対応した検索エンジン。「ノーベル賞」「人権」「学生抗議デモ」など、中国当局が問題視する検索キーワードを入力すると、検索結果が表示されないという。

すでに60以上の人権団体と22人の米国会議員がグーグル宛てに書簡を送り、「トンボ」プロジェクトを批判した。今年2月、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの担当者はグーグルの幹部らと会談し、同社の中国事業に対する懸念を改めて表明した。アムネスティ・インターナショナルは、ピチャイ氏に対して、「トンボ」の開発を中止するよう呼び掛けていくとした。

(翻訳編集・張哲)