中国ファーウェイのために働く米ロビイスト、オバマ政権時代の国家安全保障会議高官

2019/05/15 更新: 2019/05/15

中国共産党政府は、米国の元政府高官や弁護士などの雇用に力を入れている。このほど、米オバマ政権時代の高官が、中国共産党との関連の強い通信機器大手・華為科技(ファーウェイ)にロビイストとして雇用されていることが明らかになった。

米政府が最近情報公開したロビー活動に関する資料によると、世界最大規模の国際法律事務所ジョーンズ・デイの弁護士サミール・ジェイン(Samir Jain)氏は、ファーウェイの依頼で今年3月27日に「海外投資、政府入札、国防法認可の元で安全保障関連問題」に働きかけるロビイストとして登録されている。

ジェイン氏はオバマ政権時代の国家安全保障会議サイバーセキュリティ政策の上級ディレクターで、司法省副司法長官も務めた。2003年以降、ジョーンズ・デイ事務所の所属弁護士。

トランプ大統領は5月15日、ツイッターで、華為科技は、オバマ大統領政権時代にサイバーセキュリティを担当した人物をロビイストとして雇用しているとして「良いことではないし、受け入れられない」と述べた。

2018年末にカナダのバンクーバーで、米イラン制裁法違反容疑で逮捕されたファーウェイ財務最高責任者・孟晩舟氏を担当する弁護士は、オバマ政権時代に司法副長官を務めた、ジェームス・コール氏。米検察当局は10日、コール氏の過去履歴から利益相反が生じるとして、孟氏の法定代理人を務める資格はないと地裁に申し立てた。

ワシントン・ポスト5月14日付によると、中国企業は米国の一部の法律事務所やPR会社との関係を強化している。ファーウェイは米国の2つの大手PR会社、レースポイント・グローバル(Racepoint Global)およびバーソン・コーン&ウルフ(Burson Cohn & Wolte、BCW)の両社を、外国代理人登録法(FARA)のもとで活動させている。

2018年から米国では、2019年度国防権限法に基づいて、政府によるファーウェイの多くの製品およびサービスの利用が禁止されている。

しかし、ファーウェイは3月、この米国の国防権限法の合憲性を問う訴訟を起こした。この裁判の主任弁護士は、ジョーンズ・デイ事務所とパートナー契約するグレン・D・ネイガー弁護士。裁判では、米国の販売制限措置や制限に対する禁止を裁判で求めている。

機密を知る米政府の元高官 議員が雇用規制を検討

米議員たちは、敵対的国家と見なされる中国が、米国の元政府高官を雇い、機密の安全保障情報にアクセスすることを制限するため、新しい規則導入を検討している。

マイク・ギャラガー下院議員(Mike Gallagher、共和党)は4月、議員や政府、軍高官を経験した人物が、外国勢力のロビイストに登録することを禁止する法案を提起した。

同議員は連邦捜査局(FBI)クリストファー・ライ長官に対する書簡で、ファーウェイのために働く元政府高官サミール・ジェイン弁護士の問題を問い合わせた。

「ジェイン氏の米国サイバーセキュリティ政策に関する深い知識は、中国共産党の国家安全保障部、人民解放軍、中国諜報部から資金提供を受ける企業(ファーウェイ)に渡されている」とギャラガー議員は手紙に書いている。

「ジェイン氏の雇用は、米国の国家安全保障を危機にさらし、ファーウェイについての脅威に対処する国際社会の団結力を呼び掛ける米国の努力を、水泡に帰すような事態になるかもしれない」と議員は付け加えた。

これに対してライFBI長官は、共産党政権下の中国では、官民に関わらず全ての中国企業は政府に情報提供することが義務付けられていることに言及し、「米国の国家安全保障への影響を生む」と述べた。

ジョーンズ・デイ法律事務所は過去、在米中国大使館の代理人となっており、同社公式サイトでも、中国政府と密接な関係を築いてきたとしている。

米中経済・安全保障審査委員会は5月初旬、中国企業の米知的財産の入手法について、詳しく報告した。「中国共産党は政策的に、海外からの技術移転を優先的に実行している。(対中国の)競争意識を見せない(米国)企業には、直接的および間接的に資金提供を行い、協力を取り付けている」と指摘した。

ワシントン・ポストの評論員ジョシュ・ロジン氏は記事のなかで、「米国のハイレベルな機密に、深い知識を持つ国家安全保障の役人が、米国の弱点を利用しようとする外国勢力から、資金を受け取ることを許すべきではない」と主張した。

(編集・佐渡道世)