SNSから締め出される保守派、司法介入求める声=米国

2019/06/06 更新: 2019/06/06

SNSから保守的な意見の締め出しが強まっている。米国では、保守派およびリベラル派の反検閲支持者の多くは、このSNSの偏向性に対して、民間部門に判断を任せず、司法や政府が介入するべきだとの意見が強くなっている。

米国人としての自己認識以外に民族や人種、性指向、社会性差など細かな分類は、政治的に正しい言葉(ポリティカルコレクトネス)、過剰な反差別への訴求を促し、国内の分離主義を招くと懸念されている。司法と政府の介入には、これらを抑えることが期待されている。

5月初旬、保守層の意見がますます締め出しにあっていると、米保守系シンクタンク・クレアモント研究所の後援で「多文化主義対アメリカ」と題したイベントが催された。ウェブサービス大手グーグルは同時期、クレアモント研究所のインターネット広告掲載を停止した。同所の主張は人種差別的だという。

「ヘイト」と安易に見なされることによる言論検閲は、衰える兆しがない。米議員や専門家は、この問題に対応しようとする意見が形成され始めている。

公共の広場」としてのSNSの危機

最も議論されている提案の一つは、SNSが偏向性のある規則を実施し続けるならば、公共の広場と称する「プラットフォーム」としての指定を外すことだ。

1996年の通信情報事故防止法第230条は、対話型コンピューターサービスプロバイダーは、そのサービス利用者が作成したコンテンツ内容の責任を取る必要はないと定めている。

しかし、一部のSNS利用者は、フェイスブックやツイッターのような大手は、自分たちのプラットフォーム上で、ユーザーの発言や情報内容を制限し、検閲していると主張する。このため有識者の間では、大手SNSも一つの「情報発信者」として扱われるべきであり、情報取り扱いの責任があるとの見方がある。

マット・ゲーツ下院議員(Matt Gaerz、共和党)は2018年7月27日付のFOXニュースで、「ツイッターは、自らは中立であり、訴求に対応しないとしている。しかし、他方では一部の言論を抑制している。特に、私をはじめとする積極的な保守派は、ますます自由に話すことができなくなっている」とし、矛盾点を指摘した。

ゲーツ議員によると、少なくとも3人の共和党議員は2018年、ツイッターの検索から表示されなくなったという。ツイッターによると技術的なエラーで数万人が影響を受けたとしている。しかしゲーツ氏は、なぜ共和党員ばかりが影響を受けているのかと疑問を呈し、ツイッターの問題を連邦選挙管理委員会(FEC)に提訴した。

下院情報委員会前委員長のデビン・ヌネス議員(Devin Nunes、共和党)もまた、ツイッター利用者に対する名誉毀損で、ツイッターに対して2億5000万ドルの損害賠償を求めた。

ヌネス議員は、訴状に「ツイッターは独自のアルゴリズムを使って、ツイッター社の判断で、特定の企業・組織・政治家の観点を選択的にユーザーに提供している」と記した。議員は3月、FOXニュースに対して「ツイッターは公共の広場ではなく、もはや情報提供者である」と述べた。 

過剰な訴求 ヘイトスピーチ

テクノロジー企業は、コンテンツ管理における政治的偏向性を否定しているが、いっぽうで「ヘイトスピーチ」に関するルールは、偏向性があると言わざるを得ない。

2017年、米シンクタンク・ケイトー研究所(Cato Institute)の調査によると、民主党はより広範囲な事情に対して「ヘイト(憎悪に満ちている)」と主張する傾向にある。しかし共和党員は「不適切ではあるが、ヘイトではない」とする見方が多数を占めた。

たとえば、「トランスジェンダーは精神的な障害」と位置づけたことを、ヘイトだと捉える人は、保守派は17%、進歩派は59%に上った。また「同性愛は罪である」との主張をヘイトだと捉える人は、保守系は8%、進歩派は49%だった。

ノースウェスタン大学の研究者による最近の報告によると、グーグルニュースは今日、人々が報道を確認するうえで大きな影響力を持つニュースプラットフォームとなっているが、CNNやニューヨーク・タイムズのような左派メディアの頻出で左傾化が見られ、情報の多様性は欠如していると指摘した。

政治的な正しさを求める声は、はっきり党派が分かれている。米公共ラジオ局NPRや公共放送PBSのニュース番組「ニュースアワー(NewsHour)」および世論調査機関「マリスト・ポール(Marist Poll)」によると、民主党員の55%がより強い政治的な正しさを求めており、共和党の14%に対して、3倍近い数字となった。

「公共の広場」と呼ばれるSNSが、特定の言論を抑制したりするのは正しくない。保守系弁護士のウィル・チェンバーレイン氏は、5月3日付け保守系紙ヒューマン・イベントの記事で、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムといった大規模なSNSのユーザーに対しても、言論の自由の権利が法律で保護されるべきだと主張する。

言論の自由の保護権利として「もし大手SNS企業が、あなたをそのプラットフォームへ立ち入ることを拒んだり、言論を削除したりすれば、損害賠償を求めることができるようにするべきだ」とウィル弁護士は書いている。

(文・Petr Svab/翻訳編集・佐渡道世)