トランプ米大統領は8月初旬、メリーランド州の独立市ボルチモアは「全米一危険で、どんな人間も住みたがらない」「ネズミとげっ歯類による混乱」と主張したツィートをした。これに呼応して、同州や他州から集まった数百人を超えるボランティアが、街路の清掃作業を行った。
大統領の強烈な言葉は、住民を動かした。同区選出でトランプ氏に批判的なイライジャ・カミングス下院議員は現地で3日、記者会見を開き「ボルチモアがもっと時間を費やせば、非常に危険で不潔な場所は一掃できるかもしれない」と述べ、低迷する観光経済を復興する努力を奨励した。
ワシントン・イグザミナー紙によると、実直な保守派の青年活動家スコット・プレスラー氏は、大統領の発言に返信して「私は来週ボルチモアに行く。都市でゴミの清掃をする」と述べ、協力者や賛同者へ呼びかけた。
Next week, I’m coming to Baltimore.
I’m organizing a trash clean up in the city.
If you’re free on a week day, after work, please comment below for more details. #WeAreBaltimore
— #ThePersistence (@ScottPresler) July 28, 2019
8月5日午前8時、米国各地から集まった約300人のボランティアは丸一日かけて、西ボルチモアの路地のゴミ溜めから、便器、椅子、テーブル、廃タイヤなどのゴミを除去した。また、ゴミにより通行が不可能となっていた路地を整理した。伝えられるところによると、清掃作業に参加した人々は300人ほどで、主に共和党支持者、大統領支持者だという。
「素晴らしい、感謝しかありません」とボルチモア住民の女性は清掃作業について声を掛けた。西ボルチモア住民の男性は「これは私たちの都市。きれいにする必要がある」と述べた。
主催者によると、一部のボランティアは作業中の飲食料や、ゴミ捨てに関する費用を自ら支払った。現地メディアWBALラジオ放送によると、大半のボランティアが近隣住民ではく、オハイオ州やノースカロライナ州など他州から来たという。また、清掃作業に関わった全員が、主催者のスコット・プレスラー氏の呼びかけを聞いて参加していた。
「全国的な活動になるとは予期していなかった」とプレスラー氏はワシントン・イグザミナー紙に語った。プレスラー氏によると、ゴミ袋1000個分相当のゴミの収集・運搬をしたという。ひとりのボランティアは、家具やテレビなどの空き地にあるごみの山をすべて片付け、12から14トン分のゴミを運搬したと考えられると述べた。
トランプ大統領の熱心な支持者であるプレスラー氏は、草の根保守的運動を呼びかける活動家で、ソーシャルメディアのインフルエンサー(影響力を持つ情報発信者)のひとりで、彼のツイッターは31万のフォロワーを抱える。
「私は熱心なトランプ支持者だが、その(政治思想)がここに集まった人々の理由ではないと知ってもらいたい。プロ・トランプ集会ではなく、反カミングス集会でもない」と強調した。「これはまさしく、正統な共同体としてのコミュニティ活動だ」
ホワイトハウスの公式SNSアカウントは、プレスラー氏のツイッターに返信する形で、ボルチモアの清掃活動に関わったボランティアの人々に謝意を述べた。
A pro-#Trump group organized a community clean-up here in West #Baltimore today, but organizer @ScottPresler says this ‘this is not a Trump rally or an anti-Rep. Cummings event,’ rather ‘we saw a need.’ Many are here from several states, plus locals too @wbalradio pic.twitter.com/s7Ybk2aF4u
— Phil Yacuboski (@WBALPhil) August 5, 2019
Thank you to the 170+ volunteers who joined local residents to help clean up Baltimore! https://t.co/vYsHU9QIFa
— The White House (@WhiteHouse) August 6, 2019
(編集・佐渡道世)
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