オーストラリア政府は来月にも、同国ビクトリア州政府が中国と締結した「一帯一路」の覚書を廃止する予定だ。同国のモリソン首相はこのほど、同国のヘラルドサン紙に対して、「一帯一路」協定がオーストラリアにもたらすメリットはないと述べた。
ビクトリア州労働党政権は2018年10月、連邦政府と「事前の相談なし」に単独で、中国との間で「一帯一路」に参画する覚書を交わしたが、この動きは連邦政府から激しく批判されてきた。
昨年12月、連邦政府は「外交関係法」を導入した。地方政府と大学が外国政府と締結した協定が「国益に反している」と判断した場合、政府はそれを破棄する権限を持つ。
「外交関係法」によると、州政府は3月10日までに、連邦政府に外国政府と締結したすべての協定を提出する義務がある。
モリソン氏はヘラルドサン紙に対し、「(一帯一路による)メリットは何も見当たらない。もしメリットがあると言うのならば、そのメリットとそのために支払わなければならない代価は何か?今のところ、これらの質問に対する答えは見当たらない。これらの協定に対する審査は続くだろう」と述べた。
オーストラリア統計局が発表した最新のデータによると、ビクトリア州が一帯一路に署名して以来、同州の対中貿易赤字は約25%も増加し、対中貿易の輸入額が輸出額より420億豪ドル上回っている。また2014年から統計すれば、同州の対中貿易赤字は2倍近くに上っていることがわかった。
ビクトリア州の野党は、「一帯一路」は中国共産党に奉仕するためのものであり、同州の利益を考慮していないと批判している。
モリソン首相は昨年からビクトリア州政府に同協定の廃棄を求めているが、同州のアンドリュース首相は要請を無視した。
モリソン首相は、「連邦政府の政策だけが対外関係を決定できる」とし、これは「非常に重要な原則」であり、オーストラリアの外交政策に一貫性がなければならないと繰り返して表明した。
「外交関係法」が施行された後、ジョシュ・フライデンバーグ財務大臣は、「連邦政府は最初から一帯一路への署名には同意しなかった。それは今も同じだ」と述べた。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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