中国山東省にある青島大学付属医院は26日、同大学医学部の臓器提供と移植研究院院長で付属医院臓器移植センター主任の臧運金氏が、同日死亡したことを発表した。57歳だった。死因については明らかにしていない。情報筋によると、臧氏は飛び降り自殺を図った。肝臓移植分野の著名専門家である臧氏は生前、中国当局が主導する中国伝統気功グループ、法輪功の学習者を対象に行う強制臓器収奪に関わったとみられる。
発表によると、臧氏は2014年から青島大学付属医院に勤務した。同氏は同医院の臓器移植センターの設立にも関わった。
青島大学付属医院は、臧氏はこれまで2600件の肝移植手術を執刀し、「4年連続『中国名医100人』ランキングの肝移植手術分野で、トップ10にランクインしていた」と紹介した。
一方、情報筋は大紀元に対して、臧氏は26日に飛び降り自殺を図り亡くなったと語った。当日、4件の移植手術を予定していたという。
また、大紀元は青島大学付属医院の医師に連絡を試みた。ある男性医師は、臧氏の自殺について否定も肯定もせず、「わからない」と繰り返した。別の医師も「知らない」「電話番号が間違っている」と電話を切った。さらに、青島大学医学部臓器提供と移植研究院の担当者は、臧氏の死亡に関する声明は大学側の「宣伝部門が発表したもので、同研究院が発表したものではない」として、宣伝部門に問い合わせるようにと言った。
中国医療機関向けメディア「医学界」の報道も、臧氏が飛び降り自殺を図ったという情報に言及した。「医学界」は、同氏の葬儀実行委員会の関係者3人に取材したが、3人とも「わからない」「コメントできない」と返答を避けた。
中国メディアの報道では、臧運金氏は国内の医学誌で250本の論文を発表した。国際的論文検索データベースSCI(Science Citation Index)には、同氏の論文60本以上が掲載されている。
しかし、同氏が亡くなった翌日、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」で臧氏の情報を検索すると、関連報道は1本しかなかった。この報道のリンクをクリックすると、「ページがみつかりません」と表示された。中国当局が、臧氏関連の情報の検閲を強化したとみられる。
2006年、中国当局による法輪功学習者への強制臓器摘出が初めて報道された。カナダの人権弁護士、デービッド・マタス氏と元外交官のデービッド・キルガー氏が過去数年間、独自調査を行い、中国当局が法輪功学習者に対して大規模な臓器狩りを行っていると結論付けた。
国際NGO(非政府組織)「法輪功迫害追跡国際組織(WOIPFG)」は、臧運金氏が法輪功学習者への強制臓器収奪に関わったとして、調査対象リストに入れた。臧氏が各地の病院に派遣されるたびに、その病院の肝移植手術の件数が急増していたという。
WOIPFGの調査資料によれば、臧運金氏は生前、中国武装警察部隊総医院の肝移植研究所の副所長、主任医師を歴任したほか、山東大学臨床医学院、山東省臓器移植専門委員会、山東省千佛山医院肝移植科、天津市第一中心医院移植学部などで要職を兼任していた。2004年1月~08年8月まで、臧氏は天津市第一中心医院でドナーからの肝臓摘出手術1600件を実施した。うち男性ドナーが1591人で、女性は9人。平均年齢は34.5歳だった。
2007年以降、中国国内で臓器移植専門家の飛び降り自殺が相次いだ。07年5月、上海市第二軍医大学の臓器移植専門家、李保春氏(44)が死亡した。10年、当時84歳の腎臓移植専門家の黎磊石氏が、さらに14年3月、腎臓移植専門の上海市腫瘤医院泌尿器外科の張世林副主任(44)が死亡した。李氏と張氏は、WOIPFGの調査対象リストに入っている。
(翻訳編集・張哲)
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