物理学者が自然界を表す方程式を求めるように、私は人間性を表す方程式を探究してきた。例えば、幸せについて論じた著書の中で、私は次の定理を紹介している。
U = I – R
不幸(Unhappiness) = イメージ(Image)-現実(Reality)
人生に対するイメージと現実のギャップが、不幸の度合いを測る一つの方法である。
それでは、ここで左翼を表す方程式を紹介しよう。
A+S=B=L
豊かさ(Affluence)+世俗主義(Secularism)=退屈(Boredom)=左翼(Leftism)
この方程式は以下の事実を根拠としている。
左翼の多くは上流階級あるいは比較的裕福な中流階級の出身である。左翼の代表格と言えばマルクスとエンゲルスだが、彼らは非常に裕福な家庭で育った。欧米で暗躍したソ連のスパイは経済的に保障されていたし、今日の過激な社会運動に莫大な資金を提供しているのは億万長者のジョージ・ソロスである。
そして、ほぼ全ての左翼は無宗教者である。左翼を育む大学は、現代社会における最も世俗的な機関でもある。
上記の事実から、多くの人が人生の意味を見出せないという問題に突き当たった。人生の意味の欠如とは即ち「退屈」である。つまり、彼らの魂は退屈しているのである。
人間には人生の意味が必要だ。これは食べ物の次に大事な欲求である。人生の意味を見つけられない人は、決して幸せになれない。
伝統的に、人生の意味は「宗教」「家族」「自分と家族を養うこと」「愛国心」によって満たされてきた。今日、アメリカ人はその全てを失いつつある。
ピュー・リサーチによると、1980年以降に生まれたアメリカ人の3分の1以上が無宗教であり、過去最高を記録した。
Statistaの調査によると、2020年の時点で、アメリカの歴史上初めて、未婚のアメリカ人男性が約半数(46%)に上り、女性は41%に達した。米国国勢調査局によると、18歳以上のアメリカ人で結婚経験のない人は8540万人で、独身者は1億3千万人に上る。
独身男性の増加が大きな社会問題になることは、犯罪学者なら誰もが知っている。また、怒りを振りかざす左翼のデモ隊に女性が多いのを見ると、独身女性の増加も良い事ではないようだ。
結婚して家庭を持ち、自分と家族を養うことは、いつの時代も人々に人生の意味を与えてきた。貧しい人は物質的な豊かさがなくても、人生の意味を失くしたことはない。毎日、どうやって家族を養うかを考えることが、その人にとって大きな意味を持つのである。残念ながら、現代のアメリカでは家族の重要性が失われている。
また、近代史においては、国家への帰属意識が人生の意味を与えてくれた。しかし、第二次世界大戦後、西ヨーロッパにおいて国を愛する心はほとんど失われた。現在のアメリカ人も愛国心を失いつつある。
人生の意味は左翼イデオロギーによって押し潰された。左翼は伝統的な宗教を破壊した後、自らが世俗的な宗教に成り代わり、「人種差別反対」「地球温暖化の脅威」などのスローガンを掲げた。これらは、左翼が人々に与えた「人生の意味」の代表例である。
左翼はアメリカとその中心的価値観である自由を破壊している。それを防ぐ唯一の方法は、ユダヤ・キリスト教の復活、結婚と家族の重要性、そして多人種・多民族・多文化社会というユニークで偉大な国家を築き上げたアメリカの功績を、何世代にも渡って伝えていくことである。
レーガン大統領は、「自由というものは常に一世代で消滅する危機に晒されている」と述べ、我々はそのために戦い、それを守り、次世代が同じようにするように引き継いでいかなければならないと警告した。今日、大多数のアメリカ人は彼の言葉を忘れたか、あるいは全く信じていないようである。
(文・Dennis Prager/翻訳編集・郭丹丹)
執筆者:デニス・プラガー(Dennis Prager)
ラジオ・トークショー司会者でコラムニスト。
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