ミャンマーで中国企業によるレアアースの違法採掘 先進諸国、脱中国依存へ

2021/05/22 更新: 2021/05/22

共同通信によると、2月のミャンマーでの軍事クーデター以降、中国企業によるレアアースの違法採掘が急増している。ミャンマー国軍は欧米からの制裁により経済状況が深刻になっているため、許可した可能性があるという。

2017年以来ミャンマーから輸入していたレアアースは、中国レアアース産業の重要資源となっていた。2019年、中国によってミャンマーからのレアアース鉱石と精鉱の輸入が禁止されたが、レアアースのトレーダーによると、閉鎖されたミャンマーと中国のイオン鉱石取引窓口がひそかに再開されているという。

レアアースは蓄電池や磁石、光学ガラスなどのエレクトロニクス製品を作るには不可欠な材料である。中国は世界最大のレアアース生産国であり、全世界における蓄電池生産能力の80%を有している。中国政府は16年〜21年の5か年計画において、レアアースの生産目標を年間14万トンに設定した。

米シンクタンク・戦略国際問題研究所CSISのデータによると、中国は世界の85%のレアアースを提供しており、アンチモンや重晶石の3分の2は中国からだという。CSISの中野ジェーン(Jane Nakano)高級研究員は、中国は単なる鉱物提供者になるだけでなく、戦略的に重要となる金属や鉱物を入手しようとしていると指摘した。

豪中関係悪化の中、中国共産党はオーストラリアの鉄鉱石に輸入禁止令を出しているが、オーストラリアの鉄鉱石価格は去年より50%上昇している。いっぽう、中国が輸出を制限するレアアースの価格は今年4月から下落している。

オーストラリアにあるテクノロジー・シドニー大学、中国問題専門の馮崇義教授は18日、米国ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して「中国がレアアースを対欧米の『戦略武器』として使った場合、オーストラリアなどの先進国は中国に代わる供給源を見つけるので、中国のレアアース価格は下落する。レアアースを使った戦略は結局自業自得になる」と指摘した。

(蘇文悦)