インドネシアではこのほど、中国製薬大手・科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発した新型コロナウイルス(中共ウイルス)感染症ワクチンの臨床治験の責任者、ノビリア・スジャフリ・バッチャティア(Novilia Sjafri Bachtiar)博士が同ウイルスで死亡したことが分かった。6月以降、同ウイルスの感染で死亡した医療従事者131人の内、大半はシノバック社のワクチンを接種済だった。
地元メディアやロイター通信などによると、死亡したバッチャティア博士は、インドネシアの国営製薬会社、ビオ・ファルマ(BioFarma)で勤務し、インドネシアでのシノバックの新型コロナウイルスワクチン「コロナバック」の臨床試験総括責任者であった。同氏の死去は、ビオ・ファルマ社にとって大きな損失となるという。
インドネシアは、世界第4位の人口を抱える。同国政府の公表では、最近、新型コロナウイルスの新規感染者が急増している。7日当日だけでも、3万4379人の新規感染者が確認され、1040人が死亡した。政府は、感染が急拡大したのは、より高い感染力を持つ変異株(デルタ株)が原因だとの見解を示した。
また、ロイター通信によれば、同国の医療従事者らは中国シノバック社のワクチンの効力について疑問視している。同国の独立データプラットフォーム「LaporCovid-19」の情報では、6月以降、131人の医療従事者が新型コロナウイルスに感染して亡くなった。そのうちの大半は、シノバック社のワクチンを接種済みだった。
米製薬会社で医学総監督を務める朱偉氏は大紀元の取材に対して、「中国の製薬業界にとって、人口の多いインドネシアは重要な市場だ」と語った。この理由で、インドネシアでシノバックのワクチン第3相臨床試験が実施された。
朱氏は、臨床試験の責任者が死亡したことで「インドネシア国民はシノバック社の『コロナバック』に対する不安が強まるだけでなく、国際社会で『コロナバック』のイメージも激しく損なわれる」と述べた。
大紀元コメンテーターの唐靖遠氏は、ブラジルの研究チームが今年1月、同国で実施した後期臨床試験でシノバック社のワクチンの有効性は50.4%だったと発表したことを挙げた。同氏は、インドネシアの医療従事者らがワクチンを接種したにもかかわらず相次いで死亡したのは「意外ではない」と話した。
「チリとブラジルで実施された後期臨床実験のデータを見ると、中国シノバック社とシノファーム社(中国国薬集団)のワクチンの有効性が非常に低いとわかる。両国が中国製ワクチンの接種を大規模に行ったにもかかわらず、感染を抑制できていない」
唐氏は、インドネシアのバッチャティア博士の死亡は「中国製ワクチンは、中国当局がプロパガンダ宣伝を行うための政治的なツールであり、良薬ではないことを再び証明した」「中国製ワクチンを拒否する国が増えれば、中国当局のワクチン外交にとって大きな打撃となる」とした。
(翻訳編集・張哲)
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