中国の金人慶・元財政部長(財務相に相当)は28日、自宅で死亡したことが分かった。中国メディアの報道によると、金氏は亡くなった妻を弔った際、自宅で火事が起き、同氏は重いやけどを負い死亡した。世論は、金氏が不審死を遂げたとして疑問を呈した。
報道によれば、27日午後11時50分ごろ、北京市海淀区にある高官らが居住する集合住宅地のビル1階のベランダで火事が発生した。ベランダには大量の本などが置かれていた。消防隊員が28日午前零時20分ごろ消火した。ベランダでやけどを負った年配者は病院に搬送され、その後死亡が確認された。焼損面積はわずか2平方メートルだという。
中国紙・新京報は、「確認したところ、死亡者は金人慶・元財政部長だ」と報じた。享年77歳。
金氏の妻は10日前に亡くなった。死因について明らかにしていない。金氏は27日深夜、妻の霊を供養するために、紙銭と呼ばれる銭型を押した紙を燃やしていた。これが原因で火事が発生した。その際、金氏の自宅にいたのは本人だけで、車いす生活の同氏がその場から逃げ遅れたという。
SNS微博(ウェイボー)では、元閣僚である金人慶氏の急死に関する報道は、検索ランキングのトップ10に入った。ネットユーザーらは金氏が自宅に1人でいたところ死亡したことに注目し、様々な疑問を呈した。
「深夜12時、1階にあるベランダ、大量の本で火事、2平方メートル…。これらの情報は、(金氏の死が)怪しいことを示唆している」との声が上がった。
ネットユーザーらは、元高官の金氏の周りには専属警備スタッフやアシスタントらがいるだけでなく、足も不自由なら医療スタッフや家事手伝いが付き添っているはずだと指摘し、火事の時になぜ一人だけだったのかを疑問視した。
また、「奥さんが10日前に亡くなったからと言って、10日後に家で供養するのはどこの習慣だ?初七日でもないし、三七日忌でもない」との意見もあった。
中国当局が公表した金氏の死因に関する情報が少ないため、一部のネットユーザーは「報道が短いほど、大事件の可能性が高い」「絶対に何か重大なことが絡んでいる」と書き込んだ。
中国側の公開資料によれば、金人慶氏は1991~95年まで、財政部(省)の副部長(副大臣に相当)と同省の共産党組副書記を担当した。95年12月に北京市副市長に着任し、98年には中国税務局長に就いた。2003年、同氏は財政部長(胡錦涛政権)に昇任したが、07年に国務院発展研究センターの副主任に降任し、09年に政界から退いた。
当局の公表では、2007年8月、金氏は一身上の都合で財務部長を辞任したという。当時、同氏の突然の辞任に関して、中国国内メディアは金氏が性的スキャンダルに関与し、複数の高官と愛人を共有していたため、実際には胡錦涛氏に解任されたと報道した。
しかし、在米中国時事評論家の張傑連氏は2007年、中国語ラジオ放送「希望の声」の取材に対して、金人慶氏が財政部長を辞任したことは、伝統気功グループ、法輪功に対する江沢民元国家主席の弾圧政策と関係すると述べた。
張氏によると、江氏は法輪功学習者を弾圧するために、朱鎔基首相(当時)に知らせることも承認を得ることもなく、莫大な国家資金を投じた。江氏は、税務総局長であった金人慶氏を通して資金を工面した。胡錦涛政権になると、巨額の財政不足問題が浮かび上がったという。
国際NGO団体「法輪功迫害追跡国際組織(WOIPFG)」の調査では、中国当局による法輪功学習者への迫害が最も激しかった時期において、平均的に毎年、中国当局の財源の4分の1近くが弾圧政策に使われていた。ピーク時には、国内総生産(GDP)の4分の3が法輪功弾圧を維持するために使われていた。
(翻訳編集・張哲)
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