他の訓練目標の中でもとりわけ戦争概念を評価および近代化することを目的として、世界各地に駐留する米国海軍が艦隊を展開して「大規模演習(LSE)2021」を実施した。3年に1度行う恒例演習を想定して8月に実施された初の演習では、合同作戦に焦点を当てた米国艦隊総軍(USFFC)、米国太平洋艦隊(USPACFLT)、米国欧州海軍(CNE-CNA)の同期が強調されることとなった。
米国海軍第3艦隊の司令官を務めるスティーブ・ケーラー(Steve Koehler)中将はニュースリリースで、「大規模演習2021は世界規模で同期・統合できる米国海軍の艦隊の能力を実証するものである」とし、「今日の動的な海洋安保環境においても、米国海軍は所定の時間と場所において殺傷力のある正確かつ圧倒的な力を発揮して戦域での目的を達成できる。これは明白である」と述べている。
12日間にわたる同演習では、米国海軍の「分散型海洋作戦(DMO)」および米国海兵隊の「遠征前方基地作戦(EABO)」と「紛争中の環境における沿岸作戦(LOCE)」を想定して17のタイムゾーンにわたる広域で訓練が実施され、準備態勢を確実に整えることを目的として、兵士等は世界各地の高度な紛争領域における統合体制の評価と改善に取り組んだ。
同演習には空母と潜水艦を用いた実地訓練の他、50個を超える部隊から2万5000人が参加した仮想演習が含まれていた。
米国艦隊総軍を率いるクリストファー・W・グラディ(Christopher W. Grady)大将はニュースリリースで、「大規模演習2021は単なる訓練ではない。複数海軍の統合戦闘力を活用して世界各地における全紛争環境の領域でセンサー、兵器、発着場や砲台などの装備を共有した」と話している。
米国艦隊総軍によると、大規模演習2021は何時でも全方向から調整・協力による影響力を発揮する合同部隊の能力を試す訓練であった。
米国欧州海軍の司令官を務めるロバート・P・バーク(Robert P. Burke)大将は、「当軍が運用する艦隊の力を極限まで出し切り、グローバルな思考態度をもって協力を図ることで海軍固有の柔軟性により制海権を掌握して戦力投射を行うことができる」と述べている。
今回の大規模演習の計画担当官によると、将来的な大規模演習には世界各地の同盟・提携諸国を含めることが計画されている。これによりインド太平洋地域だけでなく、他の地域においても米軍がこうした諸国と提携している理由を実証できる新たな機会を提供することができる。
米国海軍第3艦隊の発表では、ケーラー中将は「必要とされる戦域に米軍は赴く。当軍はその問題解決能力と戦闘中に革新を図る能力を通じて常に戦闘で優位性を維持する」とし、「陸上に張られたテントや太平洋を航行する艦船上からでも、その場所を問わず必要な場所からこうした能力を発揮することができる」と語っている。
(Indo-Pacific Defence Forum)
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