中国各地の地方政府はこのほど、深刻な電力不足のため、工場などに対して使用制限を指示した。ブルームバークは、不動産大手の恒大集団の債務問題と同様に、電力不足も中国経済に大きな打撃を与えると指摘した。
報道は、電力需要の増加、石炭と天然ガス価格の高騰、中国当局の二酸化炭素(CO2)排出量削減政策が、中国の電力不足の主因だとの見方を示した。地方政府の電力使用制限措置により、製造業の生産工場は操業停止や減産、さらには閉鎖まで追い込まれた。
中国の約半分の地域では、当局が設定したエネルギー消費量削減の目標値を達成できておらず、電力の使用制限を要求された。最も影響を受けているのは、製造業が集中する江蘇省、浙江省と広東省。
野村証券の専門家は、中国の7~9月期と10~12月期の国内総生産(GDP)成長率の見通しについて、それぞれ4.7%と3%に下方修正する可能性があるとした。同社は、この2四半期のGDP伸び率に関して、5.1%増と4.4%増と予測していた。今年の1年間のGDP成長率の見通しも8.2%から7.7%に下方修正するという。
ブルームバーグは、中国の電力供給不足は世界的なエネルギー供給ひっ迫を反映した一方で、中国当局が自ら招いた結果でもあるとの見解を示した。習近平指導部は、来年2月の北京冬季オリンピック開催期間中の「青空」を確保することに取り組んでいる。
習近平国家主席は昨年9月、国連総会の一般討論でビデオ演説を行った際、2030年までにCO2排出量を減少に転じさせ、2060年までにゼロにすることを目指すと表明した。
いっぽう、中国の石炭先物価格は過去1カ月において、高値を更新し続けてきた。鉱山の安全性や環境汚染への懸念から、当局が国内の石炭生産量を抑え、また、オーストラリア産石炭の輸入も引き続き禁止している。
中国国内紙・新京報によると、中国南部だけではなく、23日以降、東北部3省でも電力使用制限が実施され、生産活動はほぼ休止となった。一部の地方政府は事前に知らせず送電停止をしたため、市民の生活に混乱をもたらしたという。
(翻訳編集・張哲)
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