台湾の蔡英文総統は5日発表の米外交専門誌フォーリン・アフェアーズの寄稿文で、台湾が中国共産党の手に落ちれば、アジアの平和と民主主義に「壊滅的な」影響を与えると国際社会にメッセージを送った。また、台湾の民主主義が脅かされるならば、防衛にあらゆる手段を尽くすと主張した。
台湾国防部は4日、台湾の防空識別圏(ADIZ)に中国軍機が56機侵入したと発表。1日の数としては過去最多となった。10月1日から4日にかけて148機の中国空軍機の進入が確認された。
蔡英文氏は、台湾の歴史を「不撓不屈の奮闘史」とたとえ、「健全さや透明性の高い政治を主軸とした民主主義を実践してきた」と述べた。しかし、もし台湾が陥落すれば「現代の世界的な価値観の競争において、権威主義が民主主義を凌ぐとみなされてしまう」と危惧を示した。
台湾は軍事対立を求めておらず、「近隣諸国と平和的、安定的、互恵的な共存」を望んでいると述べた。しかし台湾の民主主義が脅かされるならば、「あらゆる手段を尽くして自らを防衛する」と強調した。
中国軍機のAIDZ侵入を受けて、蘇貞昌行政院長(首相)は5日、立法院院会(国会本会議)前に報道陣の取材に応じ、「台湾は団結して国力を強化する必要がある」と訴えた。「台湾を併合したいと思っている国に容易に武力を行使させないよう阻止する」と付け加えた。
中国共産党政権からの「深刻な脅威」に直面している台湾は、今後5年間で87億ドルの予算を防衛費として確保する。6日の議会で承認されれば、2022年の168億9000万ドルの防衛予算に追加される予定だ。
米国のマルコ・ルビオ上院議員は4日、「中国共産党の攻撃的な行動は、台湾を威嚇し、自由世界にメッセージを送ることを意図している」と指摘。国際社会が中国に圧力をかけなければ、「さらなる侵略に踏み切るだろう」と述べた。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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