インターポール、執行委員に中国公安部高官選出 権限悪用の恐れ

2021/11/26 更新: 2021/11/26

国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)は25日、イスタンブールで開催された年次総会で、中国公安部の胡彬郴副局長を執行委員に選出した。米欧や日本が加盟する国際的な議員連盟「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)は同日、中国が香港人やウイグル人の反体制派にICPOの権限を悪用する恐れがあるとして強い懸念を表明した。

ICPO執行委員会は13人で構成され、事務総局を監督する役割を担う。胡氏は同委員会のアジア代表として選出された。任期は3年。ICPOは逃亡犯罪者の手配書を発行し、指紋やDNA情報などを共有するデータベースを管理しているため、人権団体などは中国の権限悪用を避けるためにも中国代表の当選阻止を訴えていた。

IPACは選出結果を受け、「中国がICPOの権限を悪用し、海外に住む何千人もの香港人やウイグル人、反体制派などをさらに深刻なリスクにさらすことになる」と声明を発表。中国共産党政権がICPOを抑圧政策の手段として使用することを認めたことになると非難した。また、中国共産党による脅迫から海外に逃れた反体制派や活動家を保護する必要性を訴え、各国政府に中国や香港との犯罪人引き渡し条約を撤回するよう求めた。

人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」のピーター・ダーリン氏は25日、「狐が羊を監視する役割を担うことになった。中国の(人権)侵害を助長し、インターポール全体の信頼を損ねる不名誉なことだ」とツイッターに投稿した。

ICPOでは18年、当時の孟宏偉総裁が中国へ一時帰国した際に行方不明となった。その後、中国当局が違法行為の疑いで調査していることが判明し、収賄罪で懲役13年の実刑判決を受けた。フランスに亡命した妻は最近、AP通信の取材に応じ「政治的な不一致が刑事事件に置き換えられた、でっちあげの事件だ」と孟氏の容疑を否定している。

米国をはじめ国際関係担当。