中国国内で行われている臓器の強制摘出問題について、欧州議会の人権小委員会は公聴会を開き、専門家から報告を受けた。中国共産党が依然として人権侵害行為を続けていることに対し、議員らは国際社会が協力して対処していく考えを示した。欧州対外活動庁の東アジア地域責任者は人権侵害に対し「最も強い言葉で非難する」と発言した。
11月29日に行われた公聴会には、ロンドンの「民衆法廷」で議長を務めたジェフリー・ナイス卿が出席、「(中国における)強制的な臓器摘出は証明できるとの結論に達した」と語った。社会的な影響力を持つ「民衆法廷」は2019年、中国の臓器収奪問題を国際人道犯罪として取り上げた。証拠とデータを検証し、中国共産党が「相当な規模で長期に渡って」良心の囚人から移植用の臓器を強制的に摘出していると結論付けた。
ロンドン大学の小児心臓外科医マーティン・エリオット教授は、臓器の強制摘出を裏付ける数々の証拠を提出した。中国では常にドナーの登録者数よりも移植手術件数がはるかに多く、死刑囚の数を考慮してもつじつまが合わないこと、中国の移植手術にかかる待機時間が諸外国と比べて極端に短いこと、拘束された囚人が理由もなく身体検査を受けていることなどから、人知れない「ドナーの備蓄(donor pool)」が臓器の供給源として存在しているとエリオット教授は指摘した。
膨大な需要を満たすために、中国共産党によって迫害されている法輪功学習者が臓器の主要な供給源となっている恐れがある。前出のジェフリー・ナイス卿は公聴会で「(臓器の強制摘出とは)すなわち、法輪功の人々を連行して殺害し、臓器を全部もぎ取って商業市場で売っているということだ」と述べた。
法輪功とは体を動かす動作と道徳的な教えに基づく修煉法で、弾圧が始まるまで7千万~1億人が学んでいた。
中国共産党が法輪功学習者の臓器を摘出していることは、カナダの人権弁護士らによる調査で明らかになっている。1999年に江沢民が弾圧を始めると、数多くの法輪功学習者が刑務所や労働教養施設、精神科病棟などに監禁され、信仰を放棄させるための拷問を受けた。
中国共産党が軍や警察、医療機関などを用いて組織的に法輪功学習者から臓器を強制摘出し、移植手術に用いることで莫大な利益を上げていることも判明した。
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ナイス卿は、人体の臓器などをすべて医療に利用した場合、1人あたり最大約5,600万円(50万ドル)の収益を得ることができると述べた。
EU小委員会のイザベル・サントス議員は報告を受けて、中国共産党の臓器摘出は「産業的規模」であり、対処するためには「EUだけではなくすべての国際機関が行動を起こさなければならない」と強調した。
マリア・ソラヤ・ロドリゲス・ラモス議員は、欧州諸国が移植産業に関与しないよう、EUは法規制を強化すべきではないかと提言した。
欧州連合の外交部門にあたる欧州対外活動庁(EEAS)で東アジア地域の責任者を務めるドミニク・ポーター氏は小委員会で、中国当局が死刑執行数や移植件数を秘匿することに対しEUは繰り返し懸念を表明してきたと強調した。そして「EUは強制的な臓器摘出という非人道的・非倫理的な犯罪行為を最も強い言葉で非難する」と述べた。
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