米政府が9~10日までの日程で「民主主義サミット」を開催する前、中国当局は連日、「米国式の民主主義」を非難している。いっぽう、中国重慶市は、政府の後押しを受けていない「独立候補」の資格を取り消した。
中国外務省は5日、同ウェブサイトで報告書「米国の民主主義に関する状況(中国語:美国民主情況)」を公表した。約1万5000字に及ぶ同報告書は、米国の民主主義の「デメリットを整理し」、米国内の民主主義の実施における政治的「混乱」と、米国式の民主主義が世界各国にもたらす「危害」を分析するとした。
中国共産党機関紙・人民日報や国営新華社通信などは相次いで、外務省の同報告書について報道を行った。ただ、官製メディアの報道のコメント欄において、中国人ネットユーザーは相次いで当局の主張に反論している。
米中国語メディア「中国数字時代」によると、一部のネットユーザーは「『人民日報』は中国人民を代表しているのか、それとも米国人民を代表しているのかわからない。米国人民よりも、中国人民のことに注目しなさい。国内の腐敗問題などを、メディアとして監督しなさい」「米国がこんなに腐敗しているなら、なぜ(高官は)子供を米国に送るのか?世界の民主主義の手本である北朝鮮に送ってください」などと不満を書き込んだ。
これらの批判的なコメントはすべて、ネット検閲当局によって削除された。
人民日報の公式SNS微博(ウェイボー)などのアカウントでは、ユーザーがコメント投稿できないように設定されている。
中国当局は4日、「中国の民主」と題した白書を公開した。白書は民主主義は全人類が共有する価値観であると強調したが、中国における民主主義は「中国共産党の指導下にあり、全過程で人民による民主主義である」と主張した。
いっぽう、中国四川省重慶市では、区の人民代表大会(区議会に相当、人代)の直接選挙に立候補した市民3人は、当局によって候補資格を取り消された。
女性市民の湯境舟さんは11月中旬、同市渝中区の選挙に立候補した。「選挙に必要な推薦人の数を確保できたが、8人しか推薦の資格がないと言われ、当局によって候補者の資格が取り消された」と湯さんは6日、米中国語テレビ放送「新唐人」に語った。
重慶市巴南区の独立候補である王承康さんは、「市当局は立候補者を監視しており、尾行もしている。私はネット上でコメントを投稿してすぐ当局に呼び出され、事情聴取を受ける羽目になった」と述べた。
選挙に立候補した韓良さんは、「独立候補が当選すれば、今後政府を監督することになる。政府はこれを恐れている」とした。
(翻訳編集・張哲)
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