中国最高指導部は6日、来年の経済政策に関する重要会議で、金融の安定を含む6つの安定と、国民雇用の保障を含む6つの保障を再び強調した。これについて、中国国内の経済学者は、中国経済が向こう5年間で「最も困難な時期に入る」と発言した。
中国経済減速
国営新華社通信によると、中国共産党中央政治局は来年の経済政策について会議を開いた。最高指導部は、「引き続き6つの安定と6つの保障をしっかりと行い」「『安定』を最優先事項にし、安定の中で前へ進む」と指示した。
中国共産党政権は2018年7月、雇用の安定、金融の安定、貿易の安定、外資の安定、投資の安定、期待の安定という「6つの安定」政策を初めて打ち出した。
当局は20年4月、国民雇用の保障、基本的民生の保障、市場主体の保障、食糧・エネルギー安全の保障、産業チェーン・サプライチェーン安定の保障、末端の行政運営の保障という「6つの保障」を主張し始めた。
在米中国人学者の謝田氏は、最高指導部は「中国経済が大混乱に陥るのではと強く不安になっているため、『6つの安定』と『6つの保障』を再び強調した」と分析した。
謝氏は、中国当局が18年に「雇用の安定」を掲げたにもかかわらず、20年には「国民雇用の保障」「基本的民生の保障」と指針を変えたことを挙げ、「中国当局の雇用政策が成功できなかったと見て取れる。国民が餓死しないように最低限の生活を維持していくと唱えたのだ」と同氏は大紀元に語った。
「中国当局が会議で安定を最優先事項にすると命じたことを読み解くと、実に中国社会は、政治、経済、貿易、金融、エネルギーなど、すべての分野で基本的な運営が不安定になっており、かつてない苦境に陥っていると推測できる」
謝田氏は、中国経済は「崩壊に瀕している状況だ」との見方を示した。
経済学者の李恒青氏も同様の考えを大紀元に示した。同氏は「中央政治局は今回の会議で繰り返し『安定』を強調した。習近平氏が発言した後、李克強首相が行った会議のまとめでは 『必ず安定を守っていく』と述べた」と指摘した。
「最も困難な時期」
米ラジオ・フリー・アジア6日付によると、中国の経済学者で清華大学教授の李稲葵氏は2日、中国国内の「新浪財経2021年年次会議」にオンラインで出席した際、「向こう5年間は、改革開放が始まってからの40年来、最も困難な時期になる可能性がある」と話した。
李教授は、中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員会の委員を務めた。公の場で中国共産党の統治を称賛してきたため、独立系の学者からは党の「御用達経済学者」と呼ばれている。
李氏は同会議で、習近平国家主席が何度も言及した「苦しい復興(の道)を歩み始める準備をしなければならない」を挙げ、「私の理解では、経済政策を実行するにあたって、われわれも困難を克服するという決心がないといけない」と話した。
教授は、中国経済を楽観視できない主因は内需不足にあるとの認識を示した。国民の所得が増えていないことがその背景にあるという。
李恒青氏は「中国の経済統計データは機密情報である。李教授なら、本当の経済データをある程度入手できるため、景気悪化の深刻さに気付き、こうして警告したのだろう」と推測される。
(翻訳編集・張哲)
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