台湾の頼清徳副総統は25日、80年来の外交関係を持つ中米ホンジュラスに向けて桃園国際空港を出発した。数少ない外交関係国のホンジュラスとの友好を強調し「協力関係を深めていく」と意気込みを見せた。
頼氏は、27日に行われるカストロ新大統領の就任式に出席する。昨年11月に行われたホンジュラス大統領選でカストロ氏は、中国と国交を樹立することを示唆しており台湾当局の危機感も高まっていた。
搭乗前の記者会見では「台湾は相互支援の精神を堅持しホンジュラスとの協力関係を深め、両国の国民に利益をもたらす」と語った。その一環として中共ウイルス(新型コロナウイルス)感染症対策の物資を提供するという。
26日にロサンゼルスに到着した頼氏は、米政府関係者や議員とオンラインで交流した。ホンジュラスでも就任式に出席する関係国代表者と会談する。米政府関係者はボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対し、米政府代表団率いるハリス副大統領と頼氏との面会予定はないと答えた。
頼氏は今回の訪問は台湾が「国際秩序の安定のために重い責任を担う」ことを世界に示すと強調。「台湾が信頼できる友人であり、国際社会に寄与する能力があると理解されるだろう」と述べた。
台北の中央通信社によると、頼氏の一行は往路で米ロサンゼルス、復路で同サンフランシスコにそれぞれ1泊し、30日に帰国する。
中国共産党は台湾への威嚇を強めるなど、台湾統一には武力行使も辞さない構えだ。台湾の友好国については多額の経済援助を行うなどして台湾との断交を迫っている。蔡英文政権が2016年に発足して以降、台湾は8カ国と外交関係を失った。ニカラグアも昨年12月、台湾との外交関係を断ち中国と国交を結ぶと発表したばかり。これで台湾と外交関係を結ぶ国は14カ国となった。
昨年11月、ホンジュラス大統領選に先立ち行われた有力候補との会合で、ブライアン・ニコルズ西半球担当国務次官補は「誰が当選したとしてもホンジュラスが台湾との外交関係を維持することを米国は望む」と語っている。
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