米国通商代表部(USTR)のビアンキ次席代表は1日、ワシントン国際貿易協会(WITA)主催のオンラインイベントで、2021年末に期限を迎えた第1段階の米中経済貿易協定について「中国が約束を果たしていないのは明らかだ」と非難した。
米中政府が2020年1月に調印してした同貿易協定は貿易拡大など7項目で構成され、中国は米国産の農産品や工業品などの輸入を2年間で計2000億ドル(約22兆円)以上増やすと約束した。
ロイターによると、ビアンキ氏は「中国に責任を取らせるために我々が取り得あらゆる手段を検討している」と述べた。さらに、中国の国家主導かつ非市場的な政策は「米国の経済的な利益に対する深刻な脅威だ」と強調した。
米国のシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)が昨年末に発表した調査結果によると、2020年1月~2021年11月までの中国の対米総輸入額は2219億ドルと目標額(3564億ドル)の62%にとどまった。
バイデン政権は現在、中国を念頭に「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の構想を発展させている。ビアンキ氏は同構想により、デジタル分野や労働分野、環境分野の貿易に関して貿易相手国に「拘束力のあるコミットメント」を求めることになると述べた。
バージニア州のオールドドミニオン大学の李少民国際経営学教授は「(貿易協定の)第1段階は当初の目的を失ってしまった」と指摘するいっぽう、米国が外交と商業の両面で中国により強固な姿勢を示すことができれば道筋は開けると強調した。
同氏は米国が中国への依存度を下げる対策を講じ、米国企業が米中貿易における知的財産権や技術移転などのリスクをより把握すれば「中国の孤立化が進み、中国共産党が意味のある変化を起こすきっかけになるかもしれない」と述べた。
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