政府、欧州へのLNG一部融通を表明 国内の安定供給確保が大前提

2022/02/09 更新: 2022/02/09

[東京 9日 ロイター] – 政府は9日、ウクライナ情勢の緊迫化などから欧州の液化天然ガス(LNG)需給が厳しくなっていることを受け、LNGの一部を欧州向けに融通すると発表した。米国や欧州連合(EU)の要請に応じた。

萩生田光一経済産業相は省内で記者団に、日本国内での安定供給が大前提となると述べた。

萩生田経産相は「ウクライナを巡る国際情勢の中で、同志国との連携は今後も必要になってくる」とし、協調姿勢を示した。日本もLNGの輸入国であり、在庫や輸入予定、今冬の寒さなどを踏まえ「余剰分を融通する。大きな数字ではないかもしれないが、日本としての精一杯の貢献」と述べた。

これは米国とEUからの要請に基づくもので、事務的には1月下旬に要請があり、米国からは先週、欧州からはきょう、正式な要請が来たという。

日本が自由に販売先を決めることができるLNGについて、余剰分を融通する。2月中には、すでに欧州に向かう予定だった数隻が欧州に着く予定。3月には、政府の要請により行き先を変えることができる船も欧州に向かうことになるため2月以上の数の船が欧州に到着することになり、4月以降も情勢を見ながら可能な限り対応できるよう、企業各社に検討を求めているという。

融通する具体的な量は明らかにしていないが、経産省によると、LNG船は1隻7万トン程度の大きさだという。

萩生田経産相は9日午後にパトリシア・フロア駐日EU大使、ラーム・エマニュエル次期駐日米国大使と続けて会談を行い、電力・ガスに影響がない範囲でLNG融通で協力することを伝えた。EUのリリースによると、フロア大使は「日本の支援は、長年の緊密な協力関係を見事に反映するものであり、これを歓迎すると共に高く評価する」と述べた。

財務省の貿易統計によると、2021年の日本のLNG輸入量は前年比0.2%減の7432万トン。LNGは火力発電や都市ガス用に使われており、寒さが本格化する冬には需要が高まる。

担当者によると、電力用・ガス用合わせて340―350万トンの在庫がある。冬には1週間に70―100万トン消費することから、現時点で3週間程度の在庫を確保しているという。

Reuters
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