台湾メディア「鏡週刊」は9日、台湾が開発した地対空弾道弾迎撃ミサイル、天弓に中国製の不良部品が見つかったと報道した。
記事によると、同ミサイルに使われているシリコン制御整流器(SCR)に不正が発覚した。部品提供の台湾企業は、米国製SCRの代わりに中国本土で作られた安価なものを納品し、莫大な利益を得た。中国製の部品を使用すれば、ミサイルは「射出できず、点火もできない」という。桃園市検察当局が現在、捜査を進めている。
同報道を受けて、台湾国防省の研究機関、国家中山科学研究院(中科院)は9日、声明を発表した。
声明によると、中科院は2021年3月、事業者から納品された部品を検査した際、「不正行為を見つけ、直ちに司法当局に通報した」という。不良部品は、「その後の兵器製造には影響を与えていない」と強調した。
中科院は、事業者の不正行為を防ぐために、SCRなどの米国製造メーカーと「確認メカニズムを構築していく」とした。
産経新聞の矢板明夫・台北支局長はフェイスブック上で、台中関係が現在緊迫する中、台湾国民の命と安全を守るための兵器まで中国当局に「浸透された」と強い懸念を示した。
同氏は、中国側は台湾に浸透工作を働き、台湾を弱体化するために絶えず情報収集を行い、隙を突こうとしていると指摘した。台湾企業が中国側企業に発注する際、中国当局の対台湾工作チームはそれに気付き、すでに狙いを定めている。
矢板氏は、SCRをめぐる不正行為は「敵方と通じる外患罪にあたる」との認識を示した。しかし、台湾の現行の法律では、事業者らは文書偽造罪で軽く処分される可能性がある。同氏は、関連法の改正や国防関連入札の審査基準の強化を提案した。
(翻訳編集・張哲)
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