中国、ナマコ養殖支援でスリランカへの影響力拡大を図る=英FT紙

2022/02/25 更新: 2022/02/25

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)23日付は、中国当局がスリランカ北部沿岸地域でナマコ養殖業の支援を通じて、同国への影響力拡大を図っているとの見解を示した。

報道によると、スリランカの漁民は、現地の中国企業から稚ナマコを入手できる。中国の海産物市場では、スリランカ産ナマコは1キロ当たり数百ドルで取引されている。中国ではナマコは高級食材である。

スリランカと隣国のインドは漁業問題をめぐって対立している。スリランカの漁民は、近年の不漁の原因はインド側の違法操業にあると非難している。この背景下で、スリランカでは中国企業によるナマコ養殖支援に興味を持つ漁民が増えている。

スリランカ北部州の都市、ジャフナのナマコ養殖協会の責任者は、同地域の養殖場は昨年の40カ所から、現在250カ所に増えたとした。FT紙によると、現在、少なくとも400人の漁民がナマコ養殖場の設立許可を申請している。国会議員らは、中国企業によるナマコ養殖業への支援を歓迎しているという。

中国当局がスリランカを巨大経済圏構想「一帯一路」の重要な参加国と位置付け、同国北部で影響力を拡大していることに、インド政府は不安視している。スリランカ北部は地理的、文化的にインドに近い。

インドメディア「インディアン・エクスプレス」は24日、駐スリランカ中国大使が昨年12月中旬にスリランカ北部州を訪問したことを報道した。中国の戚振宏大使は、現地の習慣に従って上半身を裸にし、ジャフナにあるスリランカ最大級のヒンドゥー教寺院、ナルア・カンダスワミ寺院を訪問した。戚大使は地元政府に10万ドル相当の漁網や食品を贈呈し、ナマコの種苗を生産する現地の中国企業を視察した。

FT紙は、スリランカの中国依存の拡大に懸念を示した。中国当局は「一帯一路」政策を通じて、スリランカの主要債権者となった。同国のラジャパクサ大統領は1月、中国の王毅外相と会談し、約35億ドル規模の対中債務の支払い期限の延長や、返済条件の緩和を検討するよう求めた。

資金難に陥っているスリランカ政府は2017年8月、中国企業に南部ハンバントタ港の99年間の港湾運営権を11億ドルで譲渡した。

インドは今月、スリランカに10億ドルの支援金を提供し、同国外相をインドに招いたという。

(翻訳編集・張哲)

関連特集: 一帯一路