中国の張漢暉・駐ロシア大使は20日、モスクワで事業を展開する中国の中小企業経営者数十人に対し、「危機の中のビジネスチャンスを掴め」と指示した。ロシア孔子文化促進会の公式ウィーチャット(微信)アカウントが21日、報じた。
「国際的な制裁」などの表現は使用されていないものの、張大使は目下の国際情勢を「大きなチャンス」と呼び、「ロシア市場の空白を埋めよ」と経営者に呼びかけた。「大手企業は決済やサプライチェーンで大きな困難に直面している」とし、「今こそ民間企業や中小企業が役割を果たす時だ」と力説した。
同大使はまた、「最新の状況に応じて、国家レベルでできるだけ早く解決するよう調整する。特に決済や物流などの最優先問題のために新しいプラットフォームを構築する」と話したという。
ブルームバーグの記者は22日の定例記者会見で、この件について中国外務省の汪文斌報道官に尋ねたが、回答を得られなかった。
バイデン米大統領は18日、中国の習近平国家主席に対し、「ロシア支援なら結果を伴う」と警告したばかり。
米紙ワシントン・ポスト11日付によると、米シンクタンク「ピーターソン国際経済研究所」のマーティン・コルゼンパ研究員は、中国は損失の少ない中小企業を利用して対露制裁の抜け道を作る可能性があると指摘した。
ウクライナ戦争勃発後、米国、EU、英国、日本など多くの国々は停戦促進のため、連携して対露制裁を発動した。
3月17日時点で、欧米や日韓を中心に400以上の多国籍企業や協会組織が、ロシア市場からの一部あるいは完全撤退を発表した。対露投資も停止している。
いっぽうで、中国はロシア非難を拒否している。一連の制裁を批判しながら、ロシアとの「通常の貿易関係」を維持する方針を示している。
注目される中国企業の「対露援助」の動き
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)とドローン世界最大手の大疆創新科技(DJI)が「対露援助」の姿勢を見せており、批判を受けている。
英紙デーリー・メールは今月7日、サイバー攻撃を受けたロシアのネットワークを安定させるために、ファーウェイが支援していると伝えた。
DJIはウクライナ危機後、ウクライナ軍に対してドローンを探知する「AeroScope」という自社技術の使用を制限したが、ロシア軍には制限を掛けていない。
「ロシアがミサイルを誘導するためにDJI製品を使用している」とウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相は16日、ツイートした。
米デザインプラットフォーム「Figma(フィグマ)」は今月中旬、「エンティティー・リストに記載されている」として、DJIへのサービスを停止した。フィグマは、ウェブサイトのインターフェース設計で試作段階に機能や操作性を確認するために行う「プロトタイピング」向けのソフトを提供する企業だ。
「中国が引き続きロシアを支持すれば、同じこと(制裁)は中国の身にも起こるだろう」と米中ビジネス環境の仕組みに詳しい米国の弁護士、ダン・ハリス氏は22日、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材で述べた。
(翻訳編集・李凌)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。