米議会上院は28日、中国共産党に対抗して米国の競争力強化を目指す数十億ドル規模の法案を可決した。法案は半導体の国産化を促進するとし、520億ドルの補助金を投じる。下院も2月に類似法案が通っており、今後両院法案の一本化に向け協議が行われ、バイデン大統領の署名を経て成立する。
上院の法案は賛成68、反対28で民主党主導の「America COMPETES Act(アメリカ競争法)」を可決した。共和党員の28人のうち27人が反対票を投じた。気候変動プロジェクトなどの資金提供が多く、中国共産党に対抗する要素が不十分だと共和党からは反対の声が上がっていた。
ホワイトハウスは同日発表の声明で、この法案の進展を歓迎した。「国内製造業の強化や技術革新者の支援、半導体などのサプライチェーンのボトルネックへの課題について超党派の支持」の現れだと述べた。ロイター通信などによると上下院の最終合意は今夏以降になる可能性がある。
今回の上院法案には米国台湾文化交流への資金提供、米国のインド太平洋戦略の一環に台湾を追加する、台湾公式訪問時に台湾の旗の掲揚禁止を廃止するなど地域の民主主義の問題にも対応している。
チャック・シューマー上院議員は、半導体を自国で生産することでコストを下げ「アメリカのイノベーションの新たな世代を促進する」と法案の意義を強調した。賛成票を投じたジーン・シャヒーン上院議員は、この法案が「世界中の権威主義政権に紛れもなくメッセージを送る」と中国共産党を牽制した。
共和党からは同法案に反対の声があがる。保守系シンクタンク・ヘリテージ財団で29日に講演したマルコ・ルビオ上院議員は、法案には開発者支援といった良い点もあるが「米国納税者が出資する研究や産業資産を保護するための十分なセーフガードにならない」と述べた。さらに、米国の知的財産を狙う中国(共産党)が米企業へのロビー活動を止めない限り、この問題は根本的に解決されないと主張した。
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