米専門家は、ロシアとウクライナをめぐる情勢下で米国が「弱腰」と見做されれば中国共産党は一層攻撃的になるのを世界は目撃するだろうと予想している。そして、対中抑止が不十分ならば今後、米国やその同盟国らは「厳しい問題に直面することになる」と警告を発した。
米シンクタンク「安全保障政策センター(CSP)」のスティーブン・ブライアン上級研究員は2月26日までの大紀元の取材に対して、ロシアとウクライナ侵略を観測すると同時に米国の動向を注視していると指摘した。この状況でも米国は太平洋の防衛力を強化して「太平洋地域を放置していないことを明確にすべき」と語った。
米国はドイツ、ポーランド、ルーマニアに軍を派遣しているが「欧州に気を取られている」と中国共産党政権が認識する可能性があるという。欧州東部の有事を機に、太平洋で自由に活動できるタイミングだと見るかもしれないとした。
米空軍退役軍人ダン・シュタイナー氏によると、中国共産党政権はウクライナ侵略に対する米バイデン政権の行動を注意深く観察しているという。「中国は常にワシントンの決定を分析し、次に何をするか予測しようとしている。なぜなら中国共産党政権が恐れる国は唯一、米国だからだ」と述べた。
欧州の危機…中国共産党の狙い 米国のアジア関与に疑問符をつける
シュタイナー氏によれば、中国共産党はこの欧州の危機に乗じて、米国のアジア関与をめぐり地域諸国を揺さぶろうとしていると指摘。例えば「台湾の人々に米国の決意を疑わせるために利用できる」と同氏は言った。
またロシアが欧州地域と歴史の繋がりを宣伝したように、中国共産党もアジアと中国を結びつけようとし米国を「部外者」だと喧伝するだろうと分析した。ここには台湾の持つ米国への期待を崩す狙いも含まれる。
「中国政府はアジア地域諸国に対して『21世紀は米国と中国、どちら側につくのか』と問うだろう」「中国共産党は台湾人に賢い選択をするよう言っている。なぜなら米国はいま欧州で無能に見えるからだ」と述べた。
「『米国は台湾をめぐって中国と戦争するつもりはない』…とすでに出回っている文脈に加わる強力なメッセージだ」と強調した。
両専門家によると、中国共産党政権は台湾と米国の決意を試し続けるだろうと見ている。中国共産党は台湾の防空識別圏に軍用機を送り込み、東アジアの小さな島への嫌がらせを続けている。
ブライアン氏は「ロシアのウクライナ侵攻中に軍用機の飛行と軍事演習を続けることで台湾と米国を試し、脅威を高めている」と述べた。このため米国は太平洋における米海軍の態勢を強化し「考えうるすべての中国共産党政権の動きに対する抑止力を機能させるべき」と述べた。
シュタイナー氏は、中国共産党の抑止には、対露制裁のような経済措置では不十分だと考えている。米国との衝突を想定した党の長期的な準備には制裁に対抗する手段も含まれるだろうと予想した。また「中国に(警告的な)メッセージを送るなら、今すぐ始める必要がある」と同氏は強調した。
同氏は米国防総省や各種シンクタンクは地域の対中競争では敗北主義(訳注:敗北を前提とし自らの勝利に期待しない考え)でいっぱいになっていると指摘。中国共産党政権が太平洋での戦争に勝つと結論づけるのは「まったくナンセンス」だという。「戦争ゲームやその他の仮定だけでこの結論を導き出すことは非常に問題だ。なぜなら、国防総省から出る敗北主義の態度やワシントンの意思決定レベルに影響を与えるからだ」と述べた。
「とても危険だ。米国が弱腰で無抵抗に見えれば見えるほど、中国共産党政権がやってはいけないことをやるように仕向ける恐れが高まるからだ」とブライアン氏は指摘した。
両専門家によると、米国は間もなく中国共産党がさらに攻撃的になるのを目撃することになるだろうと指摘した。そして、もし中国共産党政権の行動に何も対抗しなければ、「台湾、米国、そして同盟国は、遅かれ早かれ深い問題に直面することになるだろう」とブライアン氏は付け加えた。
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