中国駐ウクライナイの元大使、高玉生氏(74)はこのほど、非公開のシンポジウムで、ロシアによるウクライナ侵攻について「ロシアが敗北するのは時間の問題だ」と発言した。ネット検閲当局は高氏の発言に関する報道記事や投稿を削除した。
高氏は講演の冒頭で、「ロシアの戦況は日に日に受け身となり、不利になっており、敗北の兆候が表れている」と述べた。
同氏は「現代の戦争は、軍事、経済、外交、世論、宣伝、情報などによる混合戦争だ。ロシアは戦場だけではなく、他の領域でも受け身となっているため、敗北は時間の問題」と指摘した。
さらに、高氏は旧ソ連崩壊後、ロシアは衰退を続けているとし、西側の制裁によって「さらに衰退している」との認識を示し、プーチン大統領のもとでロシアの復興は実現できないと主張。「ロシアの電撃戦の失敗」で、現在のロシア経済にのしかかる軍事費がさらに膨れ上がっていくとした。
高氏は、ロシアのウクライナ侵攻について「冷戦後、最も重要な国際的な出来事だ。ポスト冷戦期を終結させ、新たな国際秩序を開く」と主張。今後、ロシアが重要な国際組織から追放され、国際的地位が低下すると予測した。
高氏の発言は中国メディアによって報じられたが、報道はまもなく削除された。ロシアを支持する中国政府の立場と一致していないためだとみられる。
高玉生氏は2005年11月から07年1月まで駐ウクライナイ大使を務めた。
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