ロシアのラブロフ外相は、「中国との関係を強化、共通利益の上で共に技術的進歩を遂げることができる」と語った。中露は宇宙分野でも戦略的に協力を深めており、米国の安全保障上の懸念材料となっている。
ロシア外務省が5月23日に発表した文章によると、「西側が『独裁者』の立場をとった今、中国との経済関係はさらに加速する。原子力を含むハイテク分野だけでなく、他の多くの分野でも我々の潜在能力を実現する機会である」と付け加えた。
ウクライナ侵攻の3週間前、プーチン大統領は習近平指導者の会談を受け、北京とモスクワの二国間関係を「無制限」のパートナーシップに更新した。両首脳はまた「禁じられた」協力領域は存在しないと宣言した。
中国は侵略をめぐるロシアを非難せず、欧米の対モスクワ制裁には批判的である。5月4日、米国上院ウクライナ議員連盟の共同議長を務めるディック・ダービン議員(民主党)は、中国のこの姿勢に対して「重大な懸念」と秦剛・駐米中国大使に通告した。
いっぽう、ラブロフ氏は、早急な西側諸国との関係改善を否定した。「西側が関係再開のために出して来る条件については真剣に検討する。西側からの供給に一切依存することを止めなければならない」と語った。
中露協力の中でも、米国の国家安全保障に大きな影響を与える分野が宇宙である。現在2018年から始まった5年間の宇宙協力プログラムの最終年度を迎えている。昨年12月、中国国営メディアの環球時報(グローバル・タイムズ)は、同プログラムが5年間延長されることを報じた。
2021年3月、ロシア国営宇宙企業のロスコスモスは中国国家航天局と覚書を締結し、国際月面研究ステーションの共同開発に合意した。同社のドミトリー・ロゴージン長官は4月、ロシアのタス通信に対し、5月末までには中国側と協議する予定であると述べている。
中露の月に対する関心は、米国国防情報局(DIA)が4月に発表した報告書「宇宙における安全保障への挑戦2022」の中でも強調されている。同局のジョン・フース氏は、「両国は今後30年間に月と火星を探査する計画で宇宙探査のイニシアチブを拡大しようとしている。成功すれば、両国による月天然資源の開発につながる可能性が高い」と述べた。
月は、暗視ゴーグルなど米軍が使用する防衛製品に加え、コンピュータやリチウム電池など日常的な電子機器の製造に必要なレアアースメタルの重要な供給源になる可能性がある。
ジョン・F・プラム国防次官補(宇宙政策担当)は、5月11日の議会公聴会で、ロシアと中国の宇宙開発能力について警告を発した。
「両国は、情報・監視・偵察衛星の目をくらますための指向性エネルギー兵器などを開発して、米国や同盟国の宇宙資産を危険にさらそうとしている。彼らは、宇宙活動を支える地上施設に対するサイバー攻撃などの悪意ある活動を採用し、他国が進めようとしている宇宙利用計画を排除しようとしている」とも述べている。
(翻訳・大室誠)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。