失踪2年 元中共外交部長秦剛が異例の姿を見せる 重大な動きの兆しか

2025/10/21 更新: 2025/10/21

2年以上消息が途絶えていた中国共産党(中共)の前国務委員で、元外交部長の秦剛がこのほど突然姿を現し、複数の人物と記念写真を撮っていたことが明らかになった。これは重大な変化の前触れを示しているのではとの分析が相次いでいる。

10月20日、SNS上で流出した動画には、秦剛が濃い色のスーツに赤いネクタイを着用し、人と並んで撮影する姿が映っていた。体型は以前より明らかにふくよかになっており、第28回北京国際音楽祭に出席したとみられている。

秦剛は2年以上にわたり消息不明となっており、その行方は内外で注目され続けていた。

今回の登場は直ちに国内外で大きな話題を呼んだ。元中共中央党校教授の蔡霞氏は、秦剛がこの時期に姿を見せたことについて、中共政界にとって「複雑な意味を持つ」と投稿し、単なる戦狼外交や外交部内部の権力闘争だけではないとの見方を示した。

時事評論家の鄭浩昌氏は「秦剛のこの最新の写真が公開されたタイミングは、中共第19期中央委員会第4回全体会議(四中全会)の直前であり、さらに写真の左下には日付をはっきり表示している。これは写真が本物であることを証明するためだと考えられ、上からの指示によるリークだと受け止められる」と述べた。

10月20日、中共四中全会が北京で開催される直前、中共軍委副主席の何衛東を含む9人の上将が党籍・軍籍を剥奪された。

鄭浩昌氏は、秦剛の登場は「間違いなく四中全会と関連している」として、「背後には緊張感が漂っており、何か大きな事態が起きる兆しがあるように感じる。中全会では高層部の動きが大きく揺れるはずだ。長く決着がつかなかった問題の結末が明らかになるだろう」と語った。

秦剛はこれまで、外交部副部長、駐米大使、外交部長を歴任し、2023年3月には国務委員に昇格、当時の中共で最も若い副国級幹部となった。しかし就任から間もなく突然消息を絶ち、一時は死亡説も流れた。今回姿を現したことは、異例のシグナルと受け止められている。

時事評論家である章天亮教授は「秦剛の不可解な登場に対し、多くの人が大きな期待を抱いている。秦剛は本当に復帰するのか? より直接的な証拠となるのは、四中全会で習近平が少なくとも一つの職務を失うかどうかだ」と指摘した。

上海の企業家・胡力任氏は「もし秦剛が今後本当に復帰するのであれば、すぐに部長職へ戻るのではなく、特別顧問、対外戦略担当、中国国際関係研究協会会長といった立場になる可能性がある」。 

「これにより外交への再関与を果たしつつ、政治的な安全距離を保つことができる。このような限定的な復帰であれば、新たな外交の象徴として位置づけられる可能性がある」と述べている。

李韻
邱越
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