[東京 1日 ロイター] – 岸田文雄首相は1日、ロシアのプーチン大統領が石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の権益などを引き継ぐ新たな事業体を設立する大統領令に署名したことに関連し、契約内容の要求がどのようなものになるか注視する考えを示しながらも、液化天然ガス(LNG)がすぐに止まることはないとの認識を示した。萩生田光一経産相は、安定供給確保に万全を期す考えを強調した。
遊説先の沖縄県で記者団の質問に答えた岸田首相は、大統領令署名によって「すぐに液化天然ガス(LNG)が止まるものではない」とした上で、「契約内容がどのようなものを求められることになるのか注視しなければならないし、事業者ともしっかり意思疎通を図って対応を考えていかなければならない」と語った。
萩生田経産相も省内で急きょ会見を開き「日本企業の権益の扱いやLNG輸入への影響は現在精査をしている最中。現地でも情報収集している」と述べた。その上で「電力やガスの安定供給の観点からも、サハリン2からのLNG供給の重要性は何ら変わるものではない」と強調した。
今回の大統領令は「接収とは異なる」とし、「新しく設立するロシア法人にサハリンエネジー社の全ての権利・義務を譲渡した上で、既存の株主に新法人に移行するかの同意を説いているもの」と説明。日本政府の対応については「引き続き日本企業や関係省庁ともよく相談しながら慎重に検討している」と述べるにとどめた。
仮にサハリン2からLNG輸入ができなくなった時の代替措置について萩生田経産相は「今後さまざまな不測の事態に備え、万全の措置を取る必要がある」と指摘。すでに業者は2―3週間のLNG在庫を有しているほか、事業者間での融通も準備している。また、中長期的にはロシア以外のLNG生産国やスポット市場からの代替調達などあらゆる手段を通じてエネルギーの安定供給確保に万全を尽くすほか、ロシアへのエネルギー依存度の低減を図る方針を改めて示した。
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