米国のナンシー・ペロシ下院議長は2日夜11時半過ぎ、台湾北部の松山空港に到着した。明日3日には蔡英文総統と面会するほか、立法院(台湾の議会)の参観や要人との面会が予定されているという。米国の現職の下院議長が台湾訪問するのは、1997年のギングリッチ氏以来25年ぶり。
今回の台湾訪問は中国共産党の圧力を押し切る形で実現した。7月28日の米中首脳電話会談で習近平氏は「外部勢力の干渉に断固反対する」「火遊びすればその身を焦がす」と威嚇した。中国共産党系メディアの前編集長はペロシ氏の航空機を「撃墜する」と過激な言論を繰り広げた。台湾訪問当日には中国軍の艦艇や作戦機が台湾周辺に出没したものの、ペロシ氏の予定を変えることはできなかった。
中国共産党の軍事的圧力に対し、米台は実力で対抗した。米海軍は2日、台湾周辺に空母を含む艦艇4隻を配備し、ペロシ氏の護衛とした。台湾軍も同日8時~4日12時までを「戦備強化整備指導期間」と定め、中国軍の脅威に応じて適切に対応すると発表した。
ペロシ氏率いる下院議員団は到着後の声明で、訪台は「台湾の民主主義を支援するという米国の揺るぎない関与を示すものだ」と述べた。また訪台は、1979年の台湾関係法、米中共同コミュニケ等の長年の米国の政策と矛盾しないと強調しつつ、中国を念頭に「米国は現状を変えるための一方的な行動に反対し続ける」とした。
ペロシ氏は2日夜に台北市内のホテルで1泊し、3日には蔡英文総統と面会すると報道されている。また、台湾の立法院(議会に相当)にも訪れる予定だ。3日午後に台湾を出発し、韓国へと向かうという。
米下院議長は副大統領に次いで米国大統領の権限を継承する権利があり、事実上のナンバー3に当たる。現職の下院議長が台湾を訪問したのは1997年のギングリッチ氏以来で、25年ぶりとなる。
中国共産党がペロシ氏の訪台に強く反発しているにもかかわらず、中国大手SNS微博(ウェイボー)では1日、「台湾」のワードが検索ランキング50位に入らなかった。このことから、中国当局がネット検閲を行ったとみられている。
25年前に下院議長として訪台したギングリッチ氏は米FOXニュースに出演、食糧問題を抱える中国は「強い立場にはない」とし、有事の際にはたちまち孤立するだろうと指摘した。
いっぽう、米国家安全保障会議(NSC)のカービー報道官は1日、江沢民政権下の1995年と1996年に中国共産党が台湾周辺海域で行ったミサイル演習に言及し、「直接的な攻撃はしないだろうが、意図しない結果につながりかねない、誤算や混乱を招く恐れがある」と述べた。
元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)のデイヴィッド・スティルウェル氏は新唐人テレビの取材に対し、中国共産党は空虚な脅しを行うことにより、自らの国際的地位を低下させていると主張した。その上で、大国でありながら実際の行動を伴わない空脅しをしていると認知されれば、実際に抑止力が必要となる場面で発揮できなくなると指摘した。
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