インドネシア、米国、その他のインド太平洋諸国の軍が参加する「ガルーダ・シールド」は今回の演習で16回目を迎え、地域協力と相互運用性を目的とした過去15回の年次軍事演習からさらに範囲と規模が大幅に拡大された。
2022年8月上旬、インドネシアのアンボラワン島にあるバトゥラジャ演習場とバタム島演習場で、オーストラリア、日本、シンガポールの部隊が2週間の演習に参加した。カナダ、フランス、インド、マレーシア、パプアニューギニア、韓国、東ティモール、英国の代表者が演習を視察した。
これは、多くの国にとっての初めての参加または視察となった。「スーパー・ガルーダ・シールド」と呼ばれる2022年の演習は、インド太平洋地域の提携国と同盟国が中国による挑発行為の増加に直面する中で行われた。
ロイター通信によると、地上作戦を指揮した米国陸軍のスティーブン・G・スミス少将は、一連の訓練が地域の緊張の高まりへの対応だという見方を否定した。同氏は、「この演習は脅威ではなく、どこの誰にとっても脅威と見なされるべきではない」と述べた。
ガルーダ・シールドには、約2,000人のインドネシア国軍(TNI)の要員と2,000人のアメリカインド太平洋軍の要員、そして提携国の参加者とオブザーバーが参加した。インドネシアの海兵隊、海軍、空軍、陸軍、沿岸警備隊、特殊作戦軍と共に、米国の海兵隊、海軍、空軍、陸軍、特殊作戦司令部が参加した。
米国国務省は、ガルーダ・シールドはインドネシアと米国間のパートナーシップの成長を明確に示すものだという。インドネシアは世界第3位の民主主義国家であり、ムスリムが多数を占める国であり、東南アジアで最大の経済国であると同時に、ASEAN (東南アジア諸国連合)のリーダーでもある。
ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、インドネシア政府高官で海上防衛アナリストのサティア・プラタマ氏は、2022年演習に見られた規模と参加国の拡大は、インドネシア政府による「意図的な決定」だと述べている。「要は、インドネシアが誰とでも自由に協力できることを示すことだ」と、プラタマ氏は同ニュースサービスに対して語った。
在インドネシア米国大使館・領事館のニュースリリースによると、米国陸軍太平洋軍司令官チャールズ・フリン大将は、「ガルーダ・シールドが昨年より規模拡大したことを誇りに思う」とし、「このように勢力を結集させることで、地域の安全保障体制を永続的なものにしている」と述べた。
今回の交流は、協力と相互運用性の促進、軍の即応性と有効性の向上、地域社会のウェルネスとインフラの促進を目的としていた。
ガルーダ・シールド2022では、水陸両用作戦、海上警備、人道支援・災害救援、テロ対策の訓練が行われた。参加者は都市部での軍事作戦を分析し、防空演習、空挺作戦、飛行場奪取演習を実施した。人道支援・市民支援プロジェクトは医療の提供に焦点を当て、軍隊は地方の施設改修を行った。
指揮所演習では、インドネシア国軍と米国軍が模擬環境で計画策定、通信を共同で行うことができた。さらに、運動競技会では各国要員間の仲間意識が構築された。
ガルーダ・シールドは、自由で開かれたインド太平洋を支援するために繰り返し実施されてきた二国間および多国間演習の1つだ。こうした演習には、他にバリカタン、キーン・エッジ、ラ・ペルーズ、マラバール、タリスマン・セーバーがある。8月上旬には、世界最大の国際海上演習である環太平洋合同演習(RIMPAC)が完了し、26か国の海軍部隊が参加した。
これらの演習には、さまざまな国の軍隊がシームレスに協力できるよう、親密感、信頼、協力を向上させるという共通の目標がある。
ガルーダ・シールドに先立ち、2022年7月にはジャカルタの南側に位置するスントゥールにあるインドネシア平和維持訓練センターでガルーダ・カンティ・ダルマが実施された。2週間にわたるこの多国間平和維持活動の現地訓練には、インドネシアの約420人の軍人と70人の米国軍人、そして22か国を代表する約350人の平和維持軍人と教官が参加した。
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