[東京 24日 ロイター] – 岸田文雄首相は24日午後、脱炭素社会に向けた戦略を協議する「GX実行会議」に出席し、次世代型原発の開発や原発の運転期間延長などの検討を加速するよう指示した。年末までに具体的な結論を出すよう求めた。審査合格済みの原発7基の再稼働を目指す方針も示した。
新たな炉を使った原発の建設を決めれば、新設や建て替えはしないという福島第1原発事故以来の方針を転換することになる。岸田首相は会議の席上、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー事情が一変したと指摘。「内閣の至上命題として、グローバルにどのような事態が生じても国民生活への影響を最小化するべく、事前にあらゆる方策を講じる」と語った。
政府がGX実行会議を開くのは2回目。政治判断が必要な項目として、担当大臣の西村康稔経産相が原発の運転期間の延長や次世代革新炉の開発・建設を提示した。西村氏は会議後、記者団に対し「原子力についてもあらゆる選択肢を排除することなく検討していくことが必要」と語った。
会議では、許可済みの原発7基の再稼働についても議論した。電力需給が逼迫した7月、岸田首相はすでに再稼働実績がある原発10基のうち、最大9基を運転させると表明。さらに今回、審査に合格したものの稼働に至っていない原発について運転再開を目指す考えを示した。岸田首相は「再稼働済みの10基の稼働確保に加え、設置許可済みの原発の再稼働に向け国が前面に立ちてあらゆる対応を取る」と述べた。
岸田首相は再生エネルギーの導入拡大についても、「思い切った系統整備の加速や、定置用蓄電池の導入加速や、洋上風力電源の推進など政治の決断が必要な項目が示された」と語った。
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