4日、高層ビルから転落死した米家庭用品小売りベットバスアンドビヨンドのCFO(最高財務責任者)のグスタボ・アーナル氏(52)は、死の数週間前から毎日18時間働いており、幹部らは休息のため交代を検討していたという。経営難から同氏へは重圧がのしかかっていた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が8日報じた。
ニューヨーク市警察は現時時間2日、高所から転落した男性の死亡を救急隊が確認したと発表した。のちに身元をアーナル氏と特定した。5日、同市検視局は自殺と断定した。
ベットバスは同日、声明で「この衝撃的な喪失に深い悲しみを覚えている」と悼んだ。ハリエット・エデルマン取締役社長も「グスタボは、彼のリーダーシップ、才能、そして当社に対する管理責任において、共に働いたすべての人々の記憶に残るだろう」と追悼の言葉を送った。
ビジネス向け交流サイト・リンクトインのプロフィールによると、アーナル氏はプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)で20年間務めた後、化粧品大手エイボンにCFOとして1年間勤務。2020年からベッドバスに入社し、CFOに就任していた。
小売のオンライン化と新型コロナ(中共ウイルス)流行の影響などから経営難に陥っていたベッドバスは8月31日、新たな資金調達計画を発表。全米で約800店舗を抱える同社は、コスト削減のため150店舗の閉鎖、20%の人員削減、商品戦略の見直しを示した。その後、同社の株価は21%急落した。
この計画公表前となる同月16日と17日、アーナル氏は同社株を5万5000株ほど売却。ライアン・コーエン会長は、株価を人為的につり上げて利益を得ようとしたとして、アーナル氏を相手取り12億ドルの損害賠償訴訟を起こした。
WSJ紙が伝える知人の話では、アーナル氏の電子メールボックスは個人投資家や原告弁護士からのメールであふれていたという。ベッドバスの関係者はこの株式売却をめぐって、不正行為や詐欺は確認できていないと語っている。
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