米中首脳、台湾問題で応酬 「新たな冷戦」懸念は後退

2022/11/15 更新: 2023/11/14

[ヌサドゥア(インドネシア) 14日 ロイター] – 米国のバイデン大統領と習近平は14日、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が開催されるインドネシアのバリ島で会談し、台湾北朝鮮などを巡り率直な意見を交換した。

人権問題のほか、ロシアによるウクライナ侵攻、国内産業への支援などで対立がくすぶる中、両首脳は米中関係の緊張が高まり、新たな冷戦に発展するのを防ぐ目的で約3時間にわたり会談。より頻繁な意思疎通を実施することで合意した。今回の会談を受け、米国のブリンケン国務長官が北京を訪問し、フォローアップ協議を行う。

バイデン大統領は会談後、「われわれは精力的に競争する。対立を求めているのではない。責任を持って競争を管理したい」と述べた。

<台湾> 

中国国営メディアによると、習近平は会談後、台湾問題は「中国の核心的な国益」であり、米中関係の第一の「レッドライン(越えてはならない一線)」と表明。「台湾問題の解決は中国の内政問題」との考えを示した。

バイデン氏は習に対し、米国は中国の「一つの中国政策」と台湾の軍隊の双方を支持する従来の政策を変えていないと確約。記者団に対し、新たな「冷戦」の必要はないとした上で「中国が台湾を侵略しようとする差し迫った試みはないと考えている」と述べた。

<北朝鮮>

バイデン大統領は習に対し、中国には北朝鮮が7回目の核実験を行わないよう説得する義務があるが、中国にその能力があるのかは分からないと指摘。

「米国は一段と防衛的な行動を取らなくてはならなくなる。中国に向けたものではないが、北朝鮮に明確なメッセージを送るものとなる。米国は同盟国、そして米国の国土を守る」と述べ、中国が北朝鮮の兵器開発計画を抑制できなければ、米国は自国と同盟国である日本と韓国を守るために必要なことを実施するとし、アジアにおける安全保障を強化する考えを伝えた。

ただ具体的には明らかにしなかった。

気候変動

中国は、ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、気候変動などを巡る一連の米国との公式対話経路を停止。

米ホワイトハウスによると、両首脳は今回の会談で気候変動や債務問題などの巡る問題について、両国の高官が新たに対話を行っていくことで合意した。

<会談の冒頭に笑顔で握手>

両首脳は会談の冒頭、米中の国旗の前で笑顔で握手。バイデン氏は「中国と米国が互いの相違を把握し、競争が紛争になるのを防ぎ、相互協力が必要なグローバルな喫緊の課題での対応策を見出せるよう、両国の首脳として責任を共有している」と語った。

習は「世界は両国関係に適切に対応することを期待している」とし、正しい両国関係に向けバイデン氏と協力することを期待すると述べていた。

バイデン氏は会談後の記者会見で、米中関係の悪化の背景にある要因について率直に話し合ったと表明。「われわれは相互に理解していると思う」と語った。

ただ、米ホワイトハウスによるとバイデン氏は会談で米中関係を困難にしている数々の議題を提起。「台湾に対する強圧的で一段と攻撃的な行動」のほか、「非市場的な経済慣行」、「新疆ウイグル自治区、チベット香港問題に加え一段と広範な人権問題」などを取り上げたという。

バイデン氏の2021年1月の大統領就任以来、両首脳は5回にわたり電話、ビデオ会談を行ったが、対面形式での会談は今回が初めて。

Reuters
関連特集: アメリカ政治