米連邦捜査局(FBI)のカシュ・パテル長官が就任から14か月で、組織の運営、指揮系統、情報技術(IT)などを抜本的に見直している。FBI史上でも最速かつ最大規模の改革と位置付け、官僚主義の削減や人工知能(AI)の導入、現場への権限移譲を進め、組織に対する米国民の信頼回復を目指す。
パテル氏は大紀元の対談番組「米国の思想リーダー」の司会者、ヤン・エキレック氏のインタビューで、過去の法執行には多くの問題があり、FBIが「武器化」されたと指摘。「米国民のFBIに対する公信力と信頼を取り戻す。そこはわれわれ自身で変えられる部分だ」と述べた。
パテル氏がFBI職員に送った内部メールによると、同局はIT基盤を全面的に再構築し、全米の捜査官が使用するシステムやツールを標準化した。従来は地域ごとに異なるシステムを使用していたため、情報共有に支障が生じていたという。
また、国内捜査活動指針を約40%削減して簡素化した。新指針には現場の捜査官から寄せられた意見を反映。「最も重要なのは、現場の声に耳を傾けたことだ」と強調した。
AI活用、捜査を迅速化
FBIは人工知能の導入を加速している。機密・非機密双方の情報収集にAIを組み込み、膨大なデータの分類、処理、分析を効率化する。
パテル氏は「データを分類、処理できなければ、どれほど大量のデータを集めても意味がない」と指摘。「AIで人間を置き換えるのではなく、敵対勢力に対抗し、増大するデータ量に対応するために活用する」と説明した。
民間のIT企業などとの連携も強化し、ディープフェイク検出、顔認識、外国語分析などの技術を捜査に導入した。
今年3月には、ノースカロライナ州で幼稚園を襲撃すると脅迫した男について情報を受け、先進的な捜査技術を活用して実行前に逮捕したという。
AIは捜査だけでなく、職員の行政手続きにも活用する。パテル氏は「職員が組織内で円滑に働けるようにし、退職時にも適切に対応する」と説明した。
退職した捜査官が拳銃を保有できる制度も導入。従来は退職時に拳銃を回収し廃棄していたとして「全く意味がない」と批判した。
ワシントン偏重を是正
組織改革では、ワシントン中心の人員配置も見直した。
従来、FBI職員の約3分の1が首都ワシントンから約80キロ以内に集中していた。パテル氏は「どの角度から見ても理にかなっていない」と指摘。
就任後、ワシントンの事務所から約1500人を全米各地の現場へ配置転換した。そのうち約500人はアラバマ州のレッドストーン兵器廠に配属された。
各地域の捜査責任者にも権限を移譲した。従来は本部の承認に数カ月を要した補助警察官の任命などを地域側で行えるようにし、作戦指揮も現地責任者が担う体制に改めた。
本部は指揮の中心から支援役へと転換し、地域の実情や情報に精通した現場責任者の判断を重視する。
州・地方の法執行機関との協力も強化している。パテル氏は「各方面との関係はかつてないほど良好だ」と強調。6月にはウェストバージニア州で、ギャング関係者35人が関与する麻薬密売ネットワークを摘発した。
現場で採取した指紋やDNAを全国データベースと照合し、容疑者を迅速に特定。捜索令状を執行し、関係者を訴追した。
パテル氏は「成果を生み出したのは共同作戦だ。地方、州レベルの警察官の積極的な参加が不可欠だった」と述べた。
応募者数、史上最高に
人材確保でも改革を進めている。
新たな任務部隊に加わる警察官らの採用手続きを迅速化し、承認までの期間を従来の14か月から最長60日に短縮した。
バージニア州クワンティコで実施する10週間の研修「ナショナル・アカデミー」では、1回当たりの受講者数を250人から300人に増員。応募者の審査手続きも効率化した。
パテル氏は「FBI史上初めて、就職志願者数が記録的な水準に達した。職員数もようやく回復した」と述べた。
経費削減、捜査体制を強化
財務面でも改革を進める。
暗号資産の押収手続きを新設し、資金の流れを追跡して詐欺や違法資金を迅速に摘発できる体制を整えた。財務システムもクラウドに移行し、安全性向上とコスト削減を図る。
契約審査の見直しだけで3億ドル超の支出を削減。秘密工作に関する資金の支払い方法も改め、今後100万ドルの経費削減を見込む。
また、「10大最重要指名手配犯」の情報提供に対する報奨金を25万ドルから100万ドルへ引き上げた。
パテル氏によれば、就任後、オピオイドによる死者数は20%減少し、スパイ事件での逮捕者数は55%増加したという。
「これが現在のFBIの重点課題だ」とパテル氏は述べ、フェンタニル問題、子供を狙った暴力犯罪、サイバーセキュリティー、海外に逃亡する重大犯罪者への対応を挙げた。
「この4分野すべてで、われわれは米国民に実質的な成果を示している」
パテル氏はこう述べ、FBI改革を今後も継続する姿勢を示した。
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