外務省は自民党外交部会などの合同会議で、スペインのNGOが指摘した中国の公安当局が活動する海外拠点は、日本に少なくとも2カ所あると述べたという。読売新聞などが報じた。報告書によれば、日本には東京と名古屋にあると明記されている。
中国共産党は、中国国外に住む異見者らを国内に住む家族を脅すといった強迫的な方法で帰国させる説得作戦を行う。その海外の拠点が、日本を含む53カ国に102カ所ある。スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が9月と12月に発表した報告書で明らかにした。
現地政府当局の許可を得ず警務を実施することは主権侵害にあたるとして、この報告発表以降少なくとも12カ国の法執行機関が調査に乗り出している。
中国地方政府の公式発表や報道をまとめたセーフガード・ディフェンダーズの報告によれば、こうした海外拠点は福州市(福建省)、青田県(浙江省)、南通市(江蘇省)、温州市(浙江省)の少なくとも4つの地方公安当局によって管理されている。現地でも人員を採用して、帰国のための説得作戦に従事させているとした。
12月の報告では、こうした海外警察のネットワークは、中国国務院華僑事務弁公室が2014年に設立した華僑ネットワーク「海外華僑華人互助センター(以下、華助センター)」とも関係すると指摘。
華助センターはのちに統一戦線工作部に移管し、海外警察同様に在外華人に対する帰国説得作戦に協力している。世界60カ国に置かれ、日本には2つある。東京都と名古屋市にそれぞれ住所を置く華僑団体がその役割を担っている。
米シンクタンク、ジェームズタウン財団による2019年の報告によれば、中国共産党はこうした海外拠点について、英語の資料では「新しい華僑向けの地域サービスの支援」などと説明しているが、中国語では「一帯一路促進」や「習近平思想に基づく新しい社会主義の実現」と説いており、共産党の政策を重視していることが窺える。
セーフガード・ディフェンダーズは、海外警察署と統一戦線工作部が「世界各国の政策を中国共産党の利益に沿うように影響工作を実施して、さらには批判者を分断し黙らせようとしている」と指摘。各国政府に対して徹底調査を求め、必要に応じて国際的な制裁措置をとるよう求めている。
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