中国の全国人民代表大会常務委員会は24日、軍が有事の際に刑事訴訟法を調整し運用する決定を採択した。この決定により、軍が戦時の状況に合わせて刑事手続きを調整することが可能となる。専門家は中国共産党が戦時統制の準備を進めているとの見解を示した。
中国国営メディア新華社通信によると、同決定は25日に施行され、戦時には軍が捜査や起訴、判決、執行という一連の刑事法の法執行を行うことが可能となる。その具体的な手続きは、軍の実権を握る中央軍事委員会(トップは習近平氏)の規定に基づいて行われる。
中国共産党の中央軍事委員会は昨年12月22日に、軍が刑事訴訟法を執行する際の規定を発表した。同規定は2023年1月1日をもって施行された。
台湾国家政策研究基金会の専門家・李正修氏は大紀元の取材に対し、中国当局の一連の動きは、台湾などとの軍事衝突を念頭に置いたものだと述べた。武力衝突が起きれば、軍が法執行を開始するという。
中国海軍の元中佐である姚誠氏は大紀元の取材に対し、軍による法執行規定は戦時統制に向けた布石にとどまらず、民衆の不満が高まることへの対策でもあると指摘した。警察力だけで国内情勢の安定を保てない場合には、軍隊を出動させて政権の維持を図ることも考えられると同氏は語った。
中国時事に詳しい評論家の唐靖遠氏は、軍が刑事訴訟のあらゆる権力を一手に引き受ける戦時下の状況では、一般人の人権がさらに脅かされる懸念があると指摘した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。