米国議会では中国発アプリ「TikTok(ティックトック)」の禁止をめぐって憲法の議論が行われている。禁止法案は言論の自由に抵触するとの意見に対し、推進派のジョシュ・ホーリー議員(共和党)は「スパイ活動の権利は(保護する対象に)含まれていない」と反論した。
TikTokをめぐっては、複数の連邦捜査機関が懸念を示しており、民間では使用禁止を求める声が高まっている。ホーリー氏は若年層への悪影響や国家安全保障上のリスクを理由に、TikTok禁止法案の全会一致での可決を訴えていた。
これに対しランド・ポール上院議員(共和党)は29日、TikTok禁止法案に「待った」をかけた。言論の自由について定めた合衆国憲法修正第1条に抵触する恐れがあるからだ。
ポール氏は議場で「中国政府は(中国国内で)TikTokの使用を禁止している。米国は中国にまねて言論の自由を禁止したいのか?」と問いかけた。
中国共産党は国内で厳しいネット検閲を敷いており、当局の利益にならないと見なすコンテンツを禁止し、削除している。海外向けのアプリ「TikTok」は検閲対象だが、親会社バイトダンスが運営する中国国内向けの「抖音」は使用可能だ。抖音は政府への批判を封じ込めるため、プラットフォーム上で大規模な検閲を実施している。
憲法の議論を挑んだポール氏に対し、法案推進派のホーリー氏は、「スパイ活動の権利」は憲法修正第1条に含まれていないと強調。中国共産党が米国人をスパイすることは「民主主義ではない。外国政府が特定の目的のために我々の法律、経済、国民を乱用することを許してはならない」と述べた。
2019年からTikTokの禁止を訴えてきたマルコ・ルビオ上院議員も、中国企業にデータ提供を義務付ける中国の国家情報法に懸念を表明。「中国には、民間企業というものは存在しない。中国の法律では存在しない」と国家安全保障上のリスクを指摘した。
民主党からは、TikTokに限らず、ユーザーデータの収集をめぐって他の大手IT企業にも同様の措置を取るべきとの主張があった。ジョー・マンチン上院議員はエポックタイムズの姉妹メディア「新唐人テレビ」の取材に対し、「敵対する6カ国の技術系企業に対して商務省の権限を拡大する」マーク・ワーナー氏の法案を推進するべきだと述べた。
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