カナダ政府は8日、野党・保守党のマイケル・チョン議員と香港在住の親族を脅迫したとして、在トロント中国領事館の外交官・趙巍氏の追放を発表した。
ジョリー外相は声明で「私たちは内政干渉を一切容認しない。カナダにいる外交官たちには、このような行為に関与すれば本国送還になると警告している」と強調した。同氏は趙巍氏を外交上の「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましくない人物)」に認定した。
カナダ外務省は4日にも、中国の情報機関がチョン氏と香港在住の親族を脅迫しているとして、駐カナダ中国大使を召喚して抗議した。チョン氏も同外交官の追放を求めていた。
カナダ紙「グローブ・アンド・メール」は1日、カナダ安全保障情報局(CSIS)がまとめた中国の影響工作に関する2021年報告書の内容を報道。中国国家安全部は人権問題に積極的なチョン氏を標的に、同氏や親族の情報を収集していると指摘した。
チョン氏を脅迫することで他の議員の発言を抑制する狙いがあったという。今回追放された趙巍氏も情報収集に関与していたとされる。
中国政府は2018年、電子機器大手ファーウェイの幹部・孟晩舟氏の逮捕をめぐる報復的措置として中国駐在のカナダ人2人を1000日以上拘束した。ジョリー氏はこうした前例を踏まえ、今回の決定の影響を注視するとした。
中国外務省は9日、報復措置として上海のカナダ領事館勤務の外交官1人を追放すると発表した。さらなる追加措置を講じることも示唆している。
トルドー首相は、この問題について説明を受けたことはなく1日の報道で初めて知ったとしているものの、首相の所属する枢密院事務局(PCO)にも同報告書が渡っていたとして、矛盾が指摘されている。
中国共産党は異論を唱える者への越境弾圧を拡大している。日本など各国に設置され主権侵害が指摘される秘密警察署もその一つ。米司法省は17日、同警察署を運営していた疑いで中国系米国人の男2人を逮捕した。
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