保護者に通知せず、学校が生徒の血液検査を実施 「臓器移植」との関連性疑う声も=中国

2023/05/15 更新: 2023/05/26

このほど、中国の一部の学校で、保護者に事前の通知もなく、無断で生徒に血液検査を行っていたことが、それを指摘するSNS投稿で明らかになった。

注目を集めているSNS投稿は、生徒の保護者と思われる遼寧省のユーザーが3月19日に投稿したもので「学校が保護者に無断で、子供に血液検査を行った」と明かしている。

保護者に知らせない「血液検査」は、何のため?

同ユーザーは「なぜ我われ保護者に何も言わないのか。血液検査の目的は何か。まさか(臓器移植の)マッチングのためではないか?」「近年中国で相次ぐ学童の失踪が、そのような血液検査と無関係だと言い切れるか?」などと、こうした学校の処置に疑問を呈した。

また「本当に血液を検査する必要があるのなら、我われ保護者が子供を正規の病院へ連れて行く」として、保護者に無断で血液検査を行った学校に対して、不信感をあらわにしている。

3月19日に投稿された、生徒の保護者と思われる遼寧省のユーザーによるコメント。(中国のネットより)

 

 

ツイッター上でも、中国の一部の学校が、保護者に無断で生徒に血液検査を行っていることに不信感を抱く動画が拡散されており、不安が広がっている。

関連投稿に寄せられたコメントのなかには「なぜ事前に通知しないのか、理解に苦しむ」「何か保護者に知られたくない、良からぬ企みでもあるのか」「なぜ正々堂々とやれないんだ」などの声が多い。

ほかにも「臓器移植データベースを充実させるためだろう」「血液検査の後は、一人ずつ姿を消すのではないか」など、中国で行われている臓器収奪との関連を疑う声は少なくない。

「こうした血液検査こそが、中国で多くの子供たちが突然姿を消していることの完璧な裏付けではないか」

「老いぼれからしたら、この子供たちの体は、彼らにとっての新鮮な部品だ」

「金持ちや権力者の目からすれば、この何の罪もない可哀そうな子供たちは、殺されるのを待つ子羊(待宰羔羊)でしかない。個人情報や生物学的データが完全に当局に掌握された後、彼らを待っているのは、いつ消されてもおかしくないリスクだけだ」

SNS上には、こういった子供たちの生命の安全に直接関係する、保護者の不安の声が相次いだ。

新たに加えられる「脂質検査」項目

3月25日、中国で「中国脂質管理ガイドライン2023(中国血脂管理指南2023)」が発表された。

7年ぶりの発表となった最新のガイドラインでは大幅な調整があり、なかでも注目を浴びたのは「小中高校での健康診断の検査項目として『脂質検査』を新たに加えるべきだ」とする提案だった。脂質検査とは、血液中の中性脂肪やコレステロール値まで調べる血液検査のことである。

中国のネット上では「中性脂肪やコレステロールが気になるのは主として成人や老人で、若い学生には縁が遠い話だと思われがちだが、そうではない。学生も検査が必要だ。それも早急に検査すべきだ」と主張する記事が、検索上位を独占している。

中国の官製メディア「人民網」4月12日付によると、中国では「学齢児童の20%が肥満で、うち6歳以下の児童が占める割合は10%に達している」という統計データが出ているという。

中国政府の対外プロパガンダ発信を担うCGTN(中国中央電視台のグローバルネットワーク)の日本語版までもが、「中国では、児童の肥満発生率は上昇傾向にある。肥満は、児童や青少年の心身の健康を脅かす、大きな公衆衛生問題となっている」と警鐘を鳴らしている。

「だから、学童への血液検査が必要なのだ」ということを、当局は言いたいのかもしれない。

しかし、たとえ実際に中国で学齢児童の肥満問題があるとしても、血液検査をするのなら、保護者が事前に承知の上で行うか、あるいは保護者が子供を病院へ連れていって検査するのが筋ではないか。保護者に非通知で行う血液検査については、その真の目的もふくめて、大いに疑問が残る。

世界一の監視大国で、なぜ失踪者が見つからない?

防犯カメラで埋め尽くされた監視大国・中国では、国内における毎年の失踪者が百万人を超えるという公式データがある。

通常の場合、反体制派の人物や民主活動家、あるいは地方政府の不正を中央に訴える陳情者であれば、どこにいようと中国の警察は即時に居場所を特定できる。

つまり、捜査当局が本気であれば、1人の失踪者を探し出すのは決して難しいことではない。しかし、なぜ失踪者はなかなか見つからないのか?

(交差点などに無数に設置された中国の監視カメラは、誰がどこにいても察知できる機能をもつ)

失踪者が見つからない理由として、彼らの臓器が「すでに中国の高官や世界中の金持ちの体に移植されているからだ」とする指摘は少なくない。「警察もそれを知っているから、本気で捜索しようとしない」というのが、今の中国においては、もはや誰もが知る「常識」になっている。

乳幼児をふくむ子供までが、毎年大量に失踪する中国。それは、組織的な臓器収奪のためか、あるいは人身売買をする悪徳業者によるものかは分からない。明確なのは、中国の警察当局が、そうした犯罪を全く取り締まろうとしないことだ。

ある日突然、我が子がいなくなり、気も狂うほどの悲しみのなかで、道端に跪いて通行人に情報提供と捜索への協力を求める母親たちがいる。その慟哭が、今日も中国の街に響き渡っていることは間違いない。

(失踪した我が子を探す親たち。路上に跪き、泣きながら通行人に情報提供と捜索への協力を求めている。中国SNSより)

中国における臓器売買問題を告発するポスター。(写真:SMGネットワーク)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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